音楽理論を学ぶか決める

音楽理論 序論

さてさて、序論もこれでいよいよ最終回です。前回の記事で、音楽理論のメリットについては十分理解できたかと思います。目に見えない音というものを、記録・記憶しやすいデータに変換してくれる存在であり、また既に発見された数々の技法が保管されたデータベースでもある。

ただ、その前に紹介したマイナス面を無視することはできません。そこにケリをつけて先へ進みましょう。

問題点のおさらい

改めて、いま世間一般にある「ポピュラー音楽理論」の問題点を一言でまとめますと、とてもシンプル。ポピュラー音楽の進化を無視してろくに研究もせず、古い知識の寄せ集め・焼き直しでどうにかごまかしているということです。

焼き直し

だから難解なくせにムダがすごく多いし、古い思想に毒されてしまう危険もある。こんなの、わざわざ時間と労力を費やして勉強したいとは思わないですよね。

この現状を解決するために作り出されたのが、自由派音楽理論なのです。

#9 自由派音楽理論

自由派

自由派は、ポピュラー音楽の型破りな手法を「これは例外です」「これは理論から外れた音楽です」で終わらせるのではなく、むしろ「新しい手法」「現代の音楽を特徴づける重要な要素」とリスペクトして、真剣に研究することから始まりました。

味方

それでもう一度、根本のシステムから理論を作り直したのです。21世紀のポピュラー音楽までちゃんと説明しきれるように新しいコンセプトや言葉でまとめ直しました。

つまり自由派は、これまで理論の“敵”であったはずの「音楽理論なんか知らないぜ!好きに作ってやる!」というロックスターやテクノスターたちの技を、まるまる“新しい仲間”として取り込んでしまったのです。だから自由派には、禁則がありません。そこにはただ「伝統的な技法」と「最新鋭の技法」という、平等な関係があるだけです。

禁則のない音楽理論

けっきょく音楽を「正しい / 間違っている」とか「出来る / 出来ない」で区別しようとすること自体がおかしかったのです。そのせいで音楽理論は堅苦しくって面倒なものになっていました。ましてやそれが正しい理由なんて説明し始めようものなら、それだけでもう日が暮れてしまいます。

BEFORE

自由派には、こういうムダな時間はありません。なんだって“出来る”し、なんだって“正しい”。大事なのは、そこから表現内容やジャンルにぴったり合った方法を選びとる能力なのです。

クラシックのスタイル、ジャズのスタイル、ロックのスタイル、ダンスミュージックのスタイル。どれかひとつを「正しい」と教え込むのではなく、それぞれの「個性」を詳しく教えてくれる音楽理論の方が良いに決まっている。そう思いませんか?

そんなに色んなジャンルのスタイルを教わるのは、情報量が多くて大変と思うかもしれませんね。でも従来の音楽理論と比べると、不必要な古い知識をバッサリとカットしているので、むしろちょっとラクになったくらいですよ。そしてその中身もずーっと役に立つポピュラー向けの知識なわけですから、楽しさが全然違います。

本格理論を学びたい人にも

ただ、中にはもちろん本格派の理論をそのままの形式で学びたいという人もいますよね。安心してください。自由派のカリキュラムでは、完全ポピュラー向けの理論の後に、任意で本格ジャズ・本格クラシック理論の入門へと進んでいける構成になっているのです。

つまり、自由派は伝統を愛する自由をも否定しません。常にその人の進みたい道を進むことを支えます。

自由派が押さえる領域

この順番にはすごく意味があって、まず理論の基礎をかなり分かった状態で本格理論をスタートするので、圧倒的に挫折しにくい。そして複数流派を対比させることによって初めて、本格理論が“なぜ”その形式になっているのかという、奥深くの哲学を理解することができます。自由派は実は、めちゃくちゃ正統派でもあるのです。

充実したメロディ理論

また自由派の大きな魅力のひとつに、分厚いメロディ理論の存在があります。

即興演奏が基本のジャズ理論や、オーケストラでの編曲が前提になっているクラシック理論が述べるメロディの理論は、やはりポピュラー音楽に当てはめる時には運用しづらかったり、ずれを感じることがあります。自由派は、そういった伝統の知識をベースにしつつも、最初から「歌メロ」のためだけに理論を再構築しているので、使いやすさが違います。

後続解決

こちらは、「メロディ編」のⅣ章で、似たような二種類のメロディがどのように異なっているかを、絵文字を交えて細かく解説しているところです。ほんの一音の違いでリスナーへの伝わり方がどう変わるか。そこまで論じます。

自由派のメロディ理論は、ルールを暗記するだけのつまらない理論とは全然違います。いかに自分の表現したいものとメロディを結びつけていくかという、極めて実践的な方法論です。

自由派は、全てを肯定します。「正しさ」を押し付ける理論ではなく、自己表現を支えるための理論。権威を崇拝するためではなく、学習者ひとりひとりのアーティストとしての誇りと個性を磨くための理論なのです。

#10 結論を下そう

さて、果てしなく思われた序論も、これで終わりです。音楽理論という言葉の幅広さを知り、理論の歴史と発展を知り、現状を知り、メリットを知り、ついでに自由派音楽理論の概要も紹介しちゃいました。そろそろ決断を下すときです。

学ばないという選択

ここまでの話を全部ふまえたうえで、「学ばない」という選択肢だってありえます。これを読んでいる人の中には、こんな方もいるはずです。

別に作曲で悩んではいないし、理論にそんなに興味はないけど、何か音楽理論をやってないやつの音楽はダメだという声が気になってここに来ました…。

もしそうであれば、「歴史と流派」の話を思い出し、安心して「学ばない」という決断をしてもらって構いません。音楽理論は2000年の知識の結晶なんかではないのだから。

もし貴方が今の自分の楽曲に迷いがなく、良いものが作れているという実感があるのなら、まだ理論の出番ではありません。音楽理論を学ぶのは、作曲する中で「何かが足りない」「自分独りの発想の限界を超えたい」といった膠着感を感じたときに、また検討すればよいのです。

また、まだ一曲も作ったことがないという人は、本当に簡単なものでいいので、まずは「自分の曲を完成させる」という経験を積むべきです。それは歌モノならメロディだけのアカペラでいいし、器楽曲ならスマホアプリの簡易的な作曲で構わない。

こんな感じでね。まだ人に見せられないくらいの、1分くらいのちょっとした曲でもいいのです。曲を完成させるには、相応の根気が要ります。まずはそこからです。そこで得た経験もつまずきも、みんな音楽理論の学習の時の原動力になります。

音楽理論を学んでみようと思ったなら

もしこれから自由派音楽理論を学ぶと決めたのであれば、膨大な音楽理論のうちどの分野をどこまで学んでいくべきなのか、そのプランを一緒に考えていきましょう

音楽を理論的に見るようになっても、作曲のよろこびがなくなることはありません。むしろ、今までは見えていなかった音楽の深淵が、ちょっとずつ見えてきます。音楽世界の冒険が、終わることはないのです。

コーデックスを持つ人
知の探究をはじめましょう。

プランを考える