進め方のプランを練る

音楽理論 序論

§1 プランを練ろう

音楽理論をどんな風にモノにして、どう活かしていくかは、かなり大事です。これ次第で理論が面白くもつまらなくも感じられます。このページは、音楽理論を実際に学びはじめていく前に、学ぶ順番と量、そしてその活用のプロセスを練っていく場です。

もちろん気の向くままにやるのでも全く問題ありませんから、ここは、「どういう風に進めていくパターンがあるのかについても参考資料が欲しい」という人のためのページです。

基本となる3つの軸

音楽理論を交えての創作活動の、軸となるものは3つです。

制作
学習
研究

3つめの「研究」というのが地味に大きなポイントですね。理論を学んだあと耳コピやコードの分析などをしてみると、新しい発見があったりします。制作の合間の良いリフレッシュにもなりますしね。ですからこの3つをバランスよく行えるのが、創作活動の理想形です。

基本的な目安として、一つ作曲に生きる知識を覚えたら、それを活かして一曲作るというペースがあって然るべきです。何らかの知識事項を手に入れたことに飽き足らず、そのまますぐ次の知識項目へと進むような行為は、知識に対して実体的・音響的な感覚を与えるチャンスを奪ってしまうものですからね。先へ進みたい気持ちを制して、実践・研究を交えましょう。

§2 進め方

メインゾーンである「コード編」「メロディ編」「リズム編」は、主に難易度を元に「章」と称する区切りで分割されています。

章たち

基本的に重要なことをひととおり学べたところで章を区切るような形になっているので、参考になればと思います。章立ては難易度が第一の基準になっており、編は違っても、I章ならI章、II章ならII章でおおよその難度は等しくなっています。

また目次ページでは、各アイコンにカーソルをホバー(モバイルではタップ)すると、その章の簡単な説明がポップアップで表示されます。

ポップアップ

それから、各章ごとのアーカイブでは、目次ページよりも詳細に各章・各節の説明を読むことができます。アーカイブへは、ヘッダーのメニューからアクセスできます。

フリーシナリオ

SoundQuestは、フリーシナリオシステムの学習方式を提案しています。すなわち、メロディ編・コード編・リズム編のそれぞれをどのように攻略していくかは、自由なのです。

フリー

ただし、メロディ編のⅡ章にはコード編のⅠ章が、メロディ編のⅢ章にはコード編のⅡ章が一部前提知識になっているなど、順序に幾らかの制約はあります。それについては、各章ないし各記事の冒頭でその旨が示されます。

制限

ゴール設定

メロディ編はV章、コード編はVIII章、リズム編はII章までありますが、この全てを学ぶ必要は全くありません。序論で述べたとおり、むしろ途中でやめられる方が賢い。ですからまずは、幾つかのジャンルを例にとり、どこを最終目標にするべきかの指標を提示しますね。

ゴール設定

まあ該当するジャンルがない場合、近いジャンルから想像してもらえればと思います。
なんと、各編のI章までやれば十分というジャンルが結構ありますね。自由派音楽理論は基礎レベルの知識がとても分厚く、各編Ⅰ章まででも50個くらい記事があります。それだけでも、相当な知識量なのです。
また、例えば電子音楽だったら、サウンドや展開作りの技術を磨くことがいちばん大事。理論に傾倒することは、あまりお勧めできません。

ただもちろん、これはザックリとした分類の大雑把な目安にすぎません。たとえば「ゲーム音楽」はⅤ章を目安としていますが、オーケストラ調のBGMが作りたいのならⅦ章の知識は絶対に持っていた方がいいです。あるいは本来サウンド勝負の電子音楽の世界で、あえてⅤ章やⅧ章で学ぶ応用技法を取り入れることで、斬新な音楽を作り出せる可能性だってもちろんあります。
逆に「ギター弾き語り」といっても、コードはシンプルで歌詞とメロ勝負だというならⅠ章の知識で十分。やはり、自分がどんな音楽を作りたいのかを元に決めてください。

理論と実践

ところで、Ⅷ章まで学びきって行き着く先が「愛好家」というのは何とも面白くない気がするでしょうか? でもそれが現実なのです😭😭
理論をいくら覚えたところで、それだけでは理論の愛好家にしかなれなくて、重要なのは、学んだ知識を活かして自分の音楽性を高めていくことです。それが出来て初めて、理論を学んだ意味があると言えます。知識だけをなぞってドンドン先へ進んでいくのではなく、学んだことを制作で活用しながら、ゆっくりとバランスよく進めていくことを推奨します。

ガイダンス

ジャンルごとの有用性が大きく分かれるメロディ編・コード編の中盤では、下のような簡易的な「ガイダンス」を設けています。

ガイダンス

七角形のグラフは、ジャンルごとの重要性を表現しています。「自分が作曲するジャンルの値が極端に低い場合には、軽く読むだけにして実践には使わない」といった判断の目安にしてください。

ただしこちらは明確な基準のもと数値化されたものではなく、あくまでも目安として、無いよりはあった方がイメージしやすかろうという程度の趣旨で掲載しています。各ジャンルについては、具体的には以下のような音楽を指します。

ジャンル 内容
J-Pop アニソン、アイドルソングを含む一般的なJ-Pop。技巧的な傾向が見られる
Jazz 本格ジャズ。
Classic 本格クラシック。
Cinematic 映画のサウンドトラック。
Electronic テクノ、EDMなど電子音楽全般。サウンドで演出をするぶん、コード等は最もシンプル
Pop 洋楽ポップス。J-Popよりもシンプルな傾向にある
Rock Pop寄りでないロック音楽全般。

当然実際の音楽というのはこれらがクロスオーバーしているし、また「ロック全般」「電子音楽全般」などと本来ひとくくりに出来るものではない。あくまでもおおよその目安です。

ゲートウェイ

一部の章では、章のはじめに「ゲートウェイ」というページが用意されています。

ゲートウェイページ

ゲートウェイは、その章よりも前の内容の定着度をテスト形式で確認できるコーナーです。四択、複数選択、並べ替えなど様々な形式で、音楽理論の問題が出題されます。問題のスタイルも楽譜、鍵盤、音源など様々です。

これもまた、「ないよりはあった方がよかろう」という気持ちで設置されたものであり、読み進めていくためにこのテストで高得点を取ることが必須ではありません。例えばその章には直接関与しない範囲の内容も問題に含まれますし、また音を聴いて当てる音感問題が正解できなくても、頭で理論が理解できていれば読み進めることは十分にできるでしょう。

とはいえ、ここで高得点を取れたうえで読み進めるのが安心、楽であることは間違いありません。本編では段階的に知識をグレードアップさせていくことになるので、現段階でどれくらいの知識定着をこちらが想定しているのかを伝えるような意味合いがゲートウェイにはあります。もちろんテストによって点数づけなどされたくないと言うのであれば、受験しなければよいことです。

§3 編選び

基本的にはメロディ・コード・リズムをローテーションしながら、まずは各編のⅠ章、それが終わったら各編のⅡ章・・・と進んでいくことを想定して当コンテンツは作られていますが、どの編から読んでいくかは自由です。
しかし自由と言われると、逆に迷ってしまいますね。Ⅰ章に関していえば推奨される順序があり、それが「メロディ編→リズム編→コード編」という順です。

おすすめ

これはもうシンプルに、簡単な順で並べるとこうなります。コード編は、和音の知識。やっぱりちょっと難しいんです。まずは親しみやすいメロディ・リズムの話から始めて、理論の世界に慣れた頃にコード編に進むと、より心的負担を少なく進められるはずです。

それ以降は興味のある編からスタートしてもらって、つまずきそうなら気分転換で別の編を読んでみるなどするとよいと思います。

マクロ音楽理論について

番外編である「マクロ音楽理論」は、曲の構造について論じる理論で、メロディ・コード・リズムの各編Ⅰ章を読み終わった人向けになっています。記事は現在たった2つですし、さほど難しくもないので、II章に進む前に一度読んでみると良いのではと思います。

コード編Ⅵ章・Ⅶ章について

コード編のⅥ・Ⅶ章は、それぞれ本格ジャズ理論・クラシック理論の基礎を学ぶ章です。互いに関連性はなく、難易度もほぼ等しいので、好きな方から始めることができます。そしてⅥ・Ⅶ章の両方を終えた人だけが進めるのが、ラストのⅧ章になっています。

どちらでも

§4 音楽理論の外側

このサイトで解説される音楽理論がいわゆる「ポピュラー音楽」に的を絞ったものであること、そして近代西洋音楽理論その外にもさらなる音楽理論はたくさんある…ということは序論ですでに述べました。しかしそもそも「音楽理論」というエリア意外にも、音楽制作において重要なスキルというのは色々とあります。

  • 楽式
    楽曲の構成に関する知識。パートの区分、その数や曲全体の長さ、反復/展開のパターンなど、ジャンルによって定番の形式がある。
  • 編曲
    どんな楽器編成にして、それぞれの楽器にどんな演奏をさせるか
  • ミキシング
    各楽器を左右のどこに配置するか、音量をどうするか。残響の調整、周波数バランスの調整などなど。これもジャンルごとの傾向差が激しい
  • 機材の技術
    楽器や人体を含むハードウェア/ソフトウェア共に、自分のイメージを適切にアウトプットするために必要な技術

そのうち代表的なのがこの辺りでしょう。こうした「音楽理論の外」についてはこのサイトではほとんど紹介されていません。作曲者自身がこのうちのどこまでを担うかが環境によって異なるし、ジャンルによってセオリーに違いがありすぎるし、またどれひとつをとってもそれ専用のウェブサイトがまるまる必要なくらいには奥が深いからです。

楽式論

ポップスでは「メロ/サビ」という区分がおなじみですが、例えばヒップホップには「バース/フック」、EDMには「ビルド/ドロップ」、ジャズには「テーマ/アドリブ」、古典クラシックなら「提示部/展開部/再現部」といったそれぞれの区分があり、楽曲の作りには大きな差があります。

編曲論

電子音楽ならどんな風に楽器を編成するかから考えねばなりませんし、バンドや合唱などで編成が確定している場合でも、フレーズや音域などをどう配分するかの可能性は無限大です。ココがうまくいかないと、「せっかくメロディが良いのに伴奏がゴチャゴチャしてて微妙」なんて事態も起こりえます。

ミキシング論

そして楽器の数が増えてくると、音源にする時には音の空間的配置や音量のバランスどりも難しくなる。それが「ミキシング(ミックス)」と呼ばれる作業分野で、ここも技術のあるなしで音源としてのクオリティが大きく左右されます。

機材の技術論

自分で演奏(or打ち込み)、編曲・ミキシングを行って曲を完成させるなら、機材に関わる知識は膨大です。例えばドラムのフレーズを作るなら、「ドラマーは4本の手足をどんな風に使ってどんなことができるのか」の知識がきちんとあった方がよい。あるいは「サビの最後の歌フレーズを、間奏の間じゅうずっとエコーさせたい」なんていう時、それを実行するにはエフェクターの知識、編集ソフトの操作に関する知識が必要です。

そして技術以前に、いかによい機材を使うかというのもやはり楽曲のクオリティには大なり小なりの影響を与えるというのは現実としてあります。

「楽式」や「編曲」については音楽理論の一分野とみなすこともできます。例えばクラシックの世界なんかはココについてもかなり理論化がされていて、「楽式論」とか「管弦楽法」といった言葉で検索すれば、専門的なコンテンツが発見できるでしょう。

しかし、音源制作で「出音のクオリティ」に直結するミックスや機材まわりの知識は、一般に「音楽理論」が指すエリアの外にあります。先述の「理論をマスターしただけでは理論愛好家にしかなれない」という言葉は、そういう意味も込めてのことです。ぜひこの辺りのバランス感覚、時間の配分感覚というのは意識して頂きたいと思います。


進め方がどうであれ、最も重要なことは、急がないことです。実践があって初めて知識は身になります。もし本編を完全制覇するなら、普通に4年はかかっても全くおかしくありません。それは、本編を読むのに4年分の時間がかかるという意味ではなく、学習・分析・実践をバランスよく行いながら読み進めていったら、終わる頃には4年くらい経っていて当たり前ということです。急がず着実に進みさえすれば、音楽理論を習得することは難しくありません。一歩一歩着実に進んでいきましょう。

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