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接続系理論 ❷ 五系統分類

By 2021.09.17接続系理論

前回の話をまとめると、こうです。

2コードの接続がもたらす曲想は、「ルートの変化」と「クオリティの変化」という2つの「コントロール・ファクター」から分析することで、クッキリと見えてくる。それによって曲想をコントロールすることが可能である。
しかし実際にどのコード進行が伝統的で、何が最近のトレンドかといった「歴史/文化的側面」は、各流派の理論書を読み比べたり、実際の楽曲をたくさん分析しないと分からない。

ここでこそ、多流派を横断する自由派音楽理論のスタンスが活きるときです。それぞれの流派の思想を整理して、「接続系統分類」を行うのです。

1 接続系統

何を基準にして接続の系統を分類していくかというと、ルートモーションRoot Motion、つまり「ルートの度数変化」です。

ルートの変化

こちらを第一基準とする主たる理由は、これが従来の理論においても分類の一基準として採用されていているからです。1

つまり、「4度下行は使用頻度・重要性が低い」とか「2度下行は弱進行である」とか、そういったルートモーションによる分類というのが、クラシック系理論にもジャズ系理論にもあります。だからルート変化ごとに分類をすれば、結果的にそれがそのまま流派(ジャンル)ごとの嗜好の違いを論じるにもピッタリの分類になるというわけです。

6種類のルート変化

ルートの動きというのは、思った以上に限られています。簡易度数の世界で論じるならば、たったの6種類しかありません

  • 2度上行
  • 3度上行
  • 4度上行
  • 2度下行
  • 3度下行
  • 4度下行

前回やったように、「6度上行」はけっきょく「3度下行」として扱うという話でした。距離の近い方で見れば、バリエーションはこれだけなのです。

近い方で

系統に名前をつける

しかし、「2度上行」とか「4度下行」ではちょっと堅苦しいし、何とも親しみが持てません。そこで、それぞれのパターンにニックネームをつけることにします。

度数 名称 略記 名前の由来
4度下行 Active Nexus A型 最も活性的(active)進行なので
4度上行 Basic Nexus B型 最も基本的(basic)な進行なので
2度下行 Close Nexus C型 近接(close)した音へ移動するので
2度上行
3度下行 Drop Nexus D型 落下(drop)する感覚をもたらすので
3度上行 Elevate Nexus E型 浮上(elevate)する感覚をもたらすので

ご覧のとおり、A・B・C・D・Eで綺麗に並び、かつ意味もそれなりに含んでいるような名前を用意しました。現段階ではどれがどのアルファベットだったか迷うと思いますけど、慣れたらこの「アルファベット1文字」というシンプルさが便利になってくるはずです。

それぞれの系統がもつ特徴については次回以降詳しくやっていきますので、この回ではそれぞれを簡単に確認していきますね。

1族と2族

接続系理論ではさらに各型の中で「1族」「2族」というサブ区分を用意します。

2族

1族と2族の区分はシンプルで、従来理論で「禁則」とか「弱い」とか言われたものたちを「2族」と呼びます。これは、やっぱりルート変化による分類だけでは網羅できない部分というのがあって、その細かいところを紹介するためのサブ区分です。

もちろん自由派にとって禁則など存在しません。それなのにわざわざ従来の禁則に「2族」というラベルを貼る理由は、これが伝統的な慣習に沿った作曲をしたいと思った時に目印になるからです。

通常モード : 完全自由

自由ってすばらしい

伝統モード : 2族を封印

伝統ってすばらしい


自由派は、従来の音楽理論との互換性を約束しています。そうである以上、古い理論が禁則と言っているものに触れないわけにはいきません。どんなシチュエーションかは分かりませんが、例えばクラシック系の偉い人に納得してもらえる曲を作らなきゃいけない時とか、そんな時にも対応できるような柔軟性を確保する義務が自由派音楽理論にはあります。1族・2族という区分は、ひとえにそれだけのために用意しました。2

もちろん「2族をあえて積極的に使うことで、より新鮮なサウンドを追求する」という使い方もできますしね。

前衛モード : 2族を積極使用

新しいってすばらしい

つまり、「伝統」と「自由」のスイッチの切り替え、そのための#ハッシュタグとして機能するのが、この「1族・2族」ということです。そしてそのような区別を必要としないのであれば、当然この1族・2族は単に無視すればよいのです。

それでは、各接続ネクサスの概要を見ていきましょう。

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