四七抜き音階

メロディ編 Ⅰ章:構造の分解

前回の要点はこうでした。「ド⇔シ」「ミ⇔ファ」の動きだけ、他の順次進行と比べて1ランク上のなめらかさ・情緒を持っている。

半音

そしてそれぞれ「シド」「ファミ」と流れるのは、聴き心地がよくてメロディ作りの基礎と言える。

テンデンシー

#1.四七抜き音階

では逆に、この2つの「傾性音」を曲から排除するとどうなるのか? 「ファ・シ」が全く使われず半音関係の消え去った音階がこの世には存在します。それが「四七抜き(よなぬき)音階」です。

47抜き

ドレミで四番目のファと、七番目のシを抜いたから、「四七抜き」です。なぜかオリエンタル(東洋的)な響きがあり、我々日本人にとっては妙に琴線に触れる音階であります。

四七抜き音階を利用した名曲を紹介

日本人の感性との親和性の高さゆえ、この四七抜き音階は実にたくさんの曲で使われています。ポップスでも、ロックでも。

いずれも「和風」な雰囲気がどことなく感じとれます。アジカンやサカナクション、相対性理論は「どことなく和風」な感じのするバンドだと思うのですが、その正体は意外と単純。この「四七抜き」が、その「和風さ」の相当な要因を担っています
先述のとおり、傾性音の解決は、西洋クラシック音楽の基本です。それを無くすことは、必然的に「クラシックぽさからの脱却」を意味し、多くは「西洋らしくなさ」「ロックぽさの演出」に繋がるのです。特に日本の90年代までのJ-Popは、かなりクラシックの影響が強いです。ですから21世紀以降、特に上記バンドのような「センスのある若い人」たちはその「90年代っぽさ」を感じ取り、意識的であれ無意識的であれそれを忌避し、この四七抜きに行き着くのです。

洋楽でも四七抜き音階の使用例はありますが、日本ほど盛んではないように感じます。洋楽では、やはりロック感を出したいときに使われる感じですね。

ギタリストにとって「四七抜き」は、アドリブ(ソロ)を弾きやすい音階としておなじみなのですが、なぜ弾きやすいかといえば、まず傾性音の不在によりメロディに不自然な「揺れ」が発生しないから。また「クラシックぽさ」が消失するため、パッと聞いた感じ「ロックっぽくてカッコイイ!」という印象が簡単に得られるからなのです。

また一方で、スコットランド民謡で使われる音階でもあり、必ずしも「東洋的」「ロック的」とも言い切れないところがあります。スコットランドに限らず、古めの曲で時々四七抜きに遭遇することはあります。


「蛍の光」は、実は元を辿るとスコットランド民謡なんですよ。「カントリーロード」はもともとアメリカの曲なのに、まるで日本の曲かのように親しまれていますが、その要因として「四七抜き音階」が我々に懐かしさを感じさせるという点がありそうです。

身も蓋もない言い方をすれば、この音階は簡単にキャッチーで日本人好きするメロディが生み出せる音階です。シンプル・明快・キャッチー。そういうものを作りたいときに、この音階が役立ちます。
ただ、やっぱり「傾性音」をどう挿し込むかというところに、作曲家の個性が現れますし、センスの見せどころでもあります。スピッツやミスチルは、その辺りの使い方が本当にうまい。この「四七抜き」を使ったメロディは、安易で無個性であるとも言えるので、四七抜きに頼りっきりの状態にはならないでほしいなと思います。

五音音階

四七抜き音階は、「ドレミソラ」の5音で成り立っています。このような音階は文字通り五音音階Pentatonic Scale/ペンタトニック・スケールといいます。ギタリストなら、ペンタトニックという言葉はおなじみのはず。
「ドレミソラ」の音階は、「Cから始まる明るい五音音階」ということで、正式名称を「C major pentatonic scale」といいます。

「ペンタトニック・スケール」は本来、五音から成る音階全てを指す言葉ですが、今一般に「ペンタ一発のギターソロ」などと言えば、それはことさらこの「四七抜き音階」を指していることがしばしばあります。


・・・とまあこんな具合に、半音・全音というちょっとした差が、曲想には大きな影響を与えます。そうすると「長音階」にも「四七抜き音階」にも登場する「ドレミ」の三人が固まっているところは、中立的存在と言えますね。
そこから上に上がる時に「ミファソ」と行けば情緒的、「ミソラ」と行けば力強く東洋的になる。
こういった細かなことを、メロディ作りの時に活かしてもらえば、メリハリのある曲が作れるはずです。

総括
  • 半音進行をなくした「四七抜き」は、西洋的な雰囲気が失われ、「東洋」や「ロック」を感じさせる音階になります。
  • 四七抜き音階は、キャッチーなメロディを作るのに向いています。

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