和声 : 基本的な禁則

コード編 Ⅶ章:古典の世界

さて、ここからは和声のいちばんイヤなところ、「禁則」の話に入っていきます。まずは、瑣末で大したことのない禁則から紹介することにします。

#1 不自然な度数の禁則

もともと「和声」は人の声で歌うことも視野に入れているので、「変な度数で進むと歌いにくいので良くない」という注意があります。具体的にいうと、以下の度数です。

七度での移動

7度の移動

7度というのは歌いにくい、だそうです。これは当然、「最短経路の原則」などを守っている限りは絶対に起こりませんね。逆に、これらを使うような応用レベルにまで習熟したのなら、自分の耳を信じて使うかどうか決めて構わないと思います。

複音程での移動

複音程

1オクターブを超える度数のことを、「複音程」と言います。まあコレは確かに突拍子もなさすぎますから、言われなくても使わんわって感じですね。

増音程での移動

増音程

主に臨時記号を使った時に生じる「増2度」「増4度」「増5度」といった「増音程」での移動は、やっぱり気持ち悪いので使用を控えるべきとしています。ただし、「増1度」であればそれは「なめらかな半音移動」ってヤツですから、もちろんオッケー。原則に従っていても「増2度」は十分に起こりうるので、注意しておきましょう。

#2 対斜の禁則

ドミナントセブンスの「限定進行音」のように、やはり「半音の進行の美しさ」というのは、いつだって大事にしたいものです。それは導音とかに限らず、どんな音でも同じ。ノンダイアトニックコードを使っていくなかで、「半音の流れ」はたくさん現れます。

そこで、「せっかく美しく半音で繋げられる音があったのに、その音を他の声部に取られてしまって、出来たはずの半音進行が潰される」という現象を対斜False Relation/Cross Relationと名付け、これを原則禁止としています。

対斜

こちらは、IV/VIから、IVmへ進んだ際に「対斜」が起きた実例です。なんか、ウッカリやっちゃいそうですよね。ラからラ♭への半音進行を、アルトに横取りされています。このような現象は、できる限り起こらないよう努めます。転調などを行う際に、この「対斜」は生じやすいです。

ちなみに、経過音や装飾音など、コードとは別のおまけで挿入された音の場合、この「対斜」の禁則は無視できます。

対斜OKArthur Edward Heacox “Lessons in Harmony”より

簡単な禁則は、これくらい。どちらにしても、気にしなければならない場面というのは多くありませんね。ここから先が、割と有名な禁則たちの解説へと進んでいきます。

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