ディミニッシュ・セブンス

コード編 Ⅲ章:新しい名前
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今回は「新しいコードネームを知る」回です。

特殊な名前のついた新しいコードを学びます。独特な構成音とサウンドを持つ上級者向けのコードで、使える場所は限られていますが、様々な特徴を持っていて、音楽理論上での重要性が高いです。


§1 ディミニッシュセブンス

以前やった「マイナーセブンスフラットファイブ」の、7thをさらに半音下げた和音のことを、ディミニッシュト・セブンスDiminished Seventhといい、「dim7」と表記します。1

7th

♭がヨコ2つ並んだ記号は見たことがないという方もいると思うので説明すると、これは「ダブルフラット」という、すでにフラットになっているものをさらにフラットさせる時の記号です。そしてドとシ♭♭の間の音程は、「減7度」といいます。

シ♭をさらに半音下げたら、それはただの「ラ」じゃないかと、そう思うかもしれません。でも「単なるラ」と「シ♭がさらに下がった」とでは、意味合いが違うのです…が、現状はあまり気にしなくてよいです。

ルートがCの時にたまたまこの「ダブルフラット」という難しいのが登場しちゃっただけで、日常でよく出会うディミニッシュたちは、そんな「ダブルフラット」なんて難しいものはつきません。

典型的なディミニッシュセブンス達

こんな感じです。コード編VI章でスケールに関する知識を学ぶと、こういう「異名同音」の難しい話もよくわかるようになります。本格的な理論書や実際の楽譜でも、便宜上はCdim7のシ♭♭をラで記すことはありますので、現段階ではラに置き換えて覚えても構いません。

§2 dim7の特徴

dim7は、特徴あるコードです。鍵盤で見ると分かりますが、それぞれの音同士の間隔が全て均等に短3度です。

Cdim7

差が均等なので、例えばE♭からdim7を作ると…

Ebdim7

こうなるわけですが、ミ、ソ、ラ、ド…よく見るとこれは、さっきのCdim7と全く同じ構成音です! これは、間隔が均等だからこそ起きうる出来事です。Cdim7とEdim7で、違うのは「ルートがどれになるか」ということだけ。その点を除けば、全く同一のコードと言えます。

同じことは、ソやラをルートにとった場合も同じです。

Cdim7
Cdim7
Ebdim7
Edim7

Gbdim7
Gdim7
Adim7
Adim7

こんな風に、dim7は4人でワンセットみたいなところがあります。音は12音あるので、「4人家族が3世帯」できることになりますね。

C-E-G-Aファミリー

C家族

C-E-G-Bファミリー

C#家族

D-F-G-Bファミリー

D家族

この「構成音が同じ」という性質を活用して、転調する方法なんていうのもあります。とにかく面白い特徴を持ったコードですね。

§3 dim7のサウンド

肝心のサウンドの話。dim7は、構成音をひとつ飛ばしてペアを作ると、それぞれ増4度の関係になっています。

増4度

ひとつの和音の中に増4度のペアが2つできているというのは、極めて珍しいです。当然ディミニッシュセブンスはめちゃくちゃ不安定な響きがします。

このコードを使う際には、この不気味さや不安定さを活かすようなものがいいでしょう。特にホラー系のBGMにはぴったりです。また、クラシックの短調の曲での使用例も多く、クラシカルな雰囲気を出す時に思い切って使ってみるのもアリです。
調性感が崩れやすいので、ホラー系の曲であればもう思い切って調性を気にせずdim7をドンドン使えば、それでもう良い雰囲気が出たりします。

ホラー

こんな感じね。3小節目からディミニッシュを適当に使いまくっただけなのですが、なかなかの雰囲気が出ています。

§4 オグジュアリー・ディミニッシュ

単体では不気味さの強いdim7ですが、ささやかな差し込み方をすることも出来ます。ジャズっぽい文脈で、V7の代わりにVdim7を使うなんていうのが定番。

VIm7IIm7Vdim7IΔ7

不安定なサウンドが、いい具合にオシャレ感へと昇華しました。同様にして、IΔ7のコードをIdim7IΔ7という風にして、sus4みたいに緊張→弛緩のスパイスを盛り込むのもよい。

IIm7V7Idim7IΔ7

トゥー、ファイブと来て解決するかと思いきや、不思議なコードで解決が先延ばしにされる。そこに不思議な面白さがあります。歌モノだとメロディを載せづらいのであまり使われませんが、こうやってジャンルによっては難なく差し込めます。
こうしたディミニッシュの使い方を、「補助的である」という意味からオグジュアリー・ディミニッシュAuxiliary Diminished Seventhといいます。2

他にポップスでの定番の使い方もあるのですが、それはⅣ章で紹介することにします。

まとめ
  • m7(♭5)の第7音をさらに半音下げた和音を「ディミニッシュセブンス」と言います。
  • ディミニッシュセブンスは、極めて不安定な響きがするコードで、ホラー系BGMなどで大活躍します。
  • I、Vが本来入るところをdim7にクオリティチェンジしたものを、オグジュアリー・ディミニッシュといいます。

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