メタ理論の記事は非常に興味深く、楽しく読ませていただいております(もちろん他の記事もです)。
以下は
メタ音楽理論 ❶フェイズとイズム
に関する気になった点です。
自然科学の位置付けが以下の二つで混同が起きているのではなかろうか、そしてそれにより例示がわかりにくくなっていないかと思います。
1. 自然科学そのもの
2. 自然科学と音楽理論の関係の中で、音楽理論から見た自然科学
具体的な場所1
分野で言えば 自然科学的 人文科学的
とありますが、https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/46/5/46_KJ00005897070/_pdf
などに言及されているように、自然科学そのものは実証から得られる経験に立脚するものです(もちろん、演繹も重要な役割を果たします)。演繹のみで行う学問は、どちらかと言えば数学(形式科学)に近いでしょう。
自然科学にはいろいろな分野があるが,すべて 「実証科学」であるから,それらの「理論」は経験的事実によって裏づけされなければ科学理論として承認されない。
その方法が観察・実験による実証であることは今日では常識である。
具体的な場所2
ラショナリズムの意見に
実例を元にした理論というのはあくまでも経験則に過ぎず、普遍性が保証されていない。音楽理論というのは第一に科学であるべきで、自然科学の原理を元に演繹的に理論を組み上げるべきである。
とありました。
この文脈では上で述べた2として、自然科学がどのようなものであるかというより、理論の原点としての役割にフォーカスしていると読めます。
しかし、自然科学も人文科学もどちらかと言えばそれ自身は経験論的であるにもかかわらず、「科学であるならこうであるべき」という後半の部分について、科学が純粋に理論を演繹的に適用するものだという誤読が発生しかねないと思います。
同様のことがこの記事全般に言えます。科学と音楽理論の関係について、どのように捉えるかは自由派音楽理論の考え次第ですが、出来るだけ誤解のないようなものであるとありがたいです。