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さて、大衆音楽を作るには、基本的に「四拍子」と「三拍子」の2つがあれば十分で、そうではない拍子は基本的に「変拍子」と呼ばれるという話を以前にしました。

しかし、大衆音楽でも普通に使われていて変拍子と呼ばれない拍子の中で、まだ紹介していないものが実はあったのです。それが、「二拍子」と「六拍子」です。

1. 二拍子

まずは、強拍と弱拍の話を思い出しましょう。

強拍・弱拍は、概念上のリズムの強さのようなもの。1拍目は小節の頭ですから、4つある拍のうちココがいちばんのリーダーであると言えます。だから「強拍」。3拍目も、ここで一区切りという感じがあるので、「中強拍」。
イチニッサンシで「強・弱・中・弱」を繰り返すのが、四拍子。そういう話でしたね。しかし一見すると四拍子に見えるようなものでも、そうではないものがあります。

こちらはサンバ風の単純なリズムパターン。こういう場合は、「強・弱・・弱」というよりも、単に「強・弱・・弱」を繰り返しているように思えます。
こうなってくると、カウントも「イチニッサンシ」というより「イチニッ、イチニッ」の方がふさわしいと言えます。

このように、「中強拍」のような“中くらい”が存在せず、イチニッを繰り返す場合は、「四拍子」ではなく「二拍子」と呼ぶことになるのです。

「強拍」なのか「中強拍」なのかが、四拍子と二拍子の分かれ目。ですから、場合によっては判断の難しいものもあるでしょう。「サンバといえば二拍子」などジャンルによって慣習的に概ね決まっているようなところもあります。クラシックの時代は、作曲家が楽譜に拍子を明示することで自分がどちらのリズム感でやりたいのかを示しました。「作曲家の意図を演奏家が再現する」という関係にあるクラシック音楽においては、四拍子と二拍子を区別することは作曲家へのリスペクトを示すうえでも重要です。
一方で、ロックやダンス音楽など楽譜があまり重要視されないジャンルでは、仮に二拍子と呼べるようなアクセント構造であったとしてもあまり気にせず四拍子と呼んでしまうのが普通でしょう。

2. 八分の六拍子

さて、次に紹介するのは、「八分の六拍子」です。そもそも「四拍子」「三拍子」は、それぞれ正式名称を「四分の四拍子」「四分の三拍子」というんでしたね。対するコイツは「八分の」という名を冠しているので、そういう点でもちょっと特別。このあたりの名称についての詳細は次回扱うことにして、まずはこの拍子がどんなリズムなのかを解説していきます。何はともあれ、典型的な八分の六拍子のリズムを聴いてもらいましょう。

聞き覚えはあるリズムだと思います。しかし、四拍子とも三拍子ともちょっとノリが違いますね。カウントは、こんな風にするのが一般的。

イチニッサン、ニーニッサン」です。今までの四拍子などと比べると、カウントの仕方が速いのが特徴。全部合わせて6カウントだから、「六拍子」。実際の曲を聴いてみましょう。

三拍子のリズムに近いところがあるので、四拍子の曲よりもどこかゆったり感があるのが、八分の六拍子の特徴です。

複合拍子

八分の六拍子は、不思議な拍子です。広い目線で見れば「イチニッ」を繰り返している二拍子。

数え方1

でも、細かい刻みに着目すれば、「イチニッサン」を繰り返している三拍子といえます。

数え方2

ですから、イチニッという大きな枠組みの中に、イチニッサンという小さな枠組みが内蔵されている、いわば二重構造になっているともいえます。

8分の6

このように、拍子の枠組みが複合している拍子のことを、複合拍子Compound Meterといいます。ワルツのような3拍子の優雅さと、聴きやすい2拍子が合体することで、独特の魅力を放っているわけです。

基本である「四拍子」「三拍子」、そして「二拍子」と「八分の六拍子」。ポップスの世界では、この4つの拍子の曲想を理解して使いこなせれば十分です。

次回は、より本格的に拍子関連の言葉の意味を学びますね。

まとめ

  • 「中強拍」らしきものがなく、「強・弱・強・弱」を繰り返すリズムは、「二拍子」に分類されます。
  • 「1,2,3,2,2,3」の6つでひとまとまりを成すリズムは「八分の六拍子」と呼ばれます。
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