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接続系理論 ❾ 王道進行と文化の差

By 2021.09.25接続系理論

さて、前回まででA~Eの各型の説明を終えました。最後は改めて、「王道進行」と呼ばれているコード進行たちを、接続系理論を交えながら紹介していきましょう。王道の進行というのは、複数の型が交じった多彩な進行が多いです。そのため、各系統を個別に説明していたこれまででは、しっかりとまとめては紹介できていませんでした。ここへ来てようやくお出ましといった感じです!

1 J-Popの王道進行

何が「王道」と呼ばれるかは、実はジャンルによって異なります。ただ世間一般に「王道進行」といえば、それはJ-Popで王道を指します。ですからまずはJ-Popの定番から紹介します。

4-5-3-6

J-Popやアイドル音楽、アニメソングで極端に頻用されている、王道中の王道であるコード進行が、「4-5-3-6」です。

もう何度も紹介していますね。B¹・C¹・D¹を1つずつ使ったバランス型という話もしました。タメにタメてからトニックに落ち着く、「起承転結」を体現したコード進行です。

特に90-00年代のJ-Popやアニソンで相当に多用されていた印象があります。

バリエーションの例

この4-5-3-6進行は、様々なバリエーションを構成しやすいのも特徴。

4536

このように、クオリティ・チェンジや親しいコードとの代理が選択肢に上がります。

下段2つ目のV/IVは、「コード演奏/分析の基本事項」という回で紹介した、「スラッシュ・コード」というものです。ベースだけが違う音を弾く応用テクニックでした。全体はVへと進むんだけども、ベースだけはIVから動かないという編曲が、この進行ではよく用いられます。上のプレイリストで言うと、「音色」「未来」「迷宮ラブソング」「I Need To Be In Love」「旅立ちの日に」ではその形になっています。

中には1パートの間ひたすら4-5-3-6だけをループするものもありますが、4-5-3-6の後に2-5-1や4-3-6といった別系統の進行を挟んで、より長いストーリーを構成するものも多くみられます。

カノンの進行

やや昔、80-90年代ごろのJ-Popで人気ナンバーワンだった進行が、「パッヘルベルのカノンのコード進行」です。クラシック作曲家パッヘルベルが「カノン」という曲で用いたことから、この名前がついています。

接続系を確認すると、A¹とC¹を交互に繰り返すような特徴的な動きになっていることが分かります。

ずうっと聴いていられる進行ですね。こちらもバリエーションがたくさん存在し、特に後半は大きく改造するものも散見されます。

バリエーションの例

「壊れかけのRadio」や「TOMORROW」はかなり純粋なカノン進行。「365日の紙飛行機」は、後半部に4-5-3-6を入れ込むという、つまり王道進行のかけ合わせになっています。

それからカノンの進行ではベースラインをなめらかにするために「スラッシュ・コード」がよく使われます。

こんなふうに、ひたすら順次進行で移動するベースラインをカノンの進行に対応させることができます。

6-4-5-1

暗い曲調のJ-Popで王道と言われるのが、「6-4-5-1」の進行です。

B型の時に6-2-5-1のバリエーションとして紹介しました。

特にバラードにぴったりで、数多くの名曲にこの進行が使われています。

J-Pop界では、以上の3つが一般に王道の進行と呼ばれます。これらを使った曲には、枚挙にいとまがありません。

2 ジャズの王道進行

2-5-1

一方ジャズで最大の定番といえば、最もクッキリしていて聴きやすい2-5-1の進行、「Two-Five-One」です。

4度上行のB型の動きには、「強進行」という名前がついているんでしたね。この進行はポップスにも定番のひとつとして持ち込まれています。

2-5-1と来て4つ目のコードを何にするかでバリエーションを作ることができるというのは、解説しましたね。

1-6-2-5

ほか、「1-6-2-5」もよく定番として数えられます。

いずれにせよ、変化量が大きく聴きやすいB型がジャズでは最も愛されています。

3 US/UKポップスの王道進行

これが洋楽のポップスやロックとなると、また好みが変わってきます。洋楽の定番コード進行といえば、「1-5-6-4」です。

1-5-6-4

こちらもA¹・C¹・D¹をひとつずつでバランスが良い。カラッとした雰囲気が、主にアメリカで好まれているのだと思います。ビートルズの「Let It Be」のイントロのコード進行として有名ですね。

アメリカではかなり定番であるのに対して、日本ではこの進行はそこまで定番というほどではありませんね。

バリエーションの例

この1-5-6-4の進行はあまり「いじりどころ」がなく、バリエーションはほとんど作れません。代わりに、この4人を並び替えることでまたUS/UKポップスで比較的よく見られるコード進行が生まれます。

6-4-1-5

例えば「A型の接続」で紹介した、6-4-1-5の進行は、1-5-6-4のループをずらしただけとも言えますね。こちらはVIm始まりとなり、ダークかつ激しい印象。

1-4-6-5

あるいはVIVをひっくり返した1-4-6-5という進行も、王道とまでは行かないですが、ちょこちょこ使用されます。

これは4-6というE型の柔らかい接続が用いられているのが特徴で、アメリカ的な広大でオープンな雰囲気を演出するのに向いている印象があります。

6-1-5-4

それから、特に昨今のダンスミュージックではE²やA²の接続が常用されますから、6-1-5-4のような従来からすると過激な進行も一定数見受けられます。

6-1-5-4と6-1-5-2のどちらもあり得ます。

USの王道サイクル

特に洋楽では、IVIの進行が日本よりも高頻度で使われている印象があります。だから、すごくザックリとした比較をすれば、こんな感じ。

邦楽風 6-4-5-1 1-5-6-3 4-5-1-6
洋楽風 6-4-1-5 1-5-6-4 4-1-5-6

「洋楽風」の行に並んだ「6-4-1-5」「1-5-6-4」「4-1-5-6」は、開始地点が異なるだけで接続自体はみな同一ですね。これもちょっと面白い話です。

USポップスの王道サイクル?

IVIはキリスト教の聖歌の終わりに使われるそうで、それゆえ欧米人はこの進行に親しみを持っているのかもしれません。もちろんすごくザックリの傾向ですし、今後文化のクロスオーバーが進むにつれてこうした差異は減っていくでしょうけどね。

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