接続系理論 ➓ 総括

音楽理論 接続系理論

§1 接続系を総おさらい

さて、前回までで各系統それぞれの接続系が持つ効果を確認しました。

定義 特徴
Active 4度下行 明快で力強い
Basic 4度上行 明快かつ聴きやすい
Close 2度上下 なめらかで聴きやすい
Drop 3度下行 穏やかで安定している
Elevate 3度上行 フワフワして落ち着かない

これらがもつ印象の違いを理解することで、表現したいものにピッタリはまった進行が作れるという話でした。

2族をまとめて暗記する

要注意の存在である「2族」たちは、実は2種類にまとめて覚えることができます。

ひとつはA・C・D型の「緊張のイレギュラーな緩和」。そしてE型の2族はすべて「同機能内での、マイナーからメジャーへの進行」であると言えます。

2族をまとめて暗記

IIImIの接続は、IIImをトニックとする流派から見れば、ダブルで禁則に触れます。こんな風にまとめて覚えておくと、暗記の負担が減らせますね。また改めてみると、IIImが一番のクセモノであることが本当によく分かります。伝統的なクラシック理論に則れば、IIImの進行先はIVVImの二択なのです。

2族はなぜ禁則なのか

2族が禁則である理由は、けっきょく一言でまとめてしまえば「定番の進行の逆向きに進むから」ということに尽きます。古典派理論は、「ベタの理論」だということを思い出してください。王道じゃないことはするモンじゃないという前提に立って理論が作られているのです。

そしてもしそのもう一歩先、すなわち「なぜ定番は定番なのか」までいくと、それは解決されていない難問であり、実際の現状は次のようなものです。

  • 理論が定番を決めたのではなく、定番をまとめて理論ができた。
  • 定番が定番である科学的理由をもう何百年もたくさんの学者が考えていて、仮説はいっぱい生まれたけど証明はできていない。
  • クラシック世界の中でも、2族の接続を「可能である」という立場を取る書籍は普通にある。

現状ではやはり、「ローカルルール」であると言わざるを得ません。そうだからこそ自由派は、従来の禁則と呼ばれるものに縛られる必要などないと唱えているわけです。

機能チャートのアップグレード

TDS機能分類の回で掲載した機能チャートも、接続系理論をふまえて下のようにアップグレードができます。

機能チャート アップグレード

7本ある一方通行の矢印に逆らわなければ、誰からも「禁則だぞ」と言われない安心な進行が作れるということになります。きっと、そんなことを全く気にしなくてもいい時代があと数十年で来ると思いますが。

むろん、従来の規則を気にしないのであれば1族/2族の区別自体覚える必要がありません。コード進行の音響的本質はあくまでも「ルート変化」と「クオリティ変化」であって、対して1族/2族はジャンルごとの好みを注釈するための”ハッシュタグ”なのですからね。そこは文字通り”自由”に運用してもらえればと思います。

補助輪としての分類

30種の接続を5系統×2族で分類したわけですが、忘れないでほしいのは、この分類を覚えることがゴールではないということです。接続系理論の本来の意義は、TDS論で6パターンに”圧縮”されてしまったコード進行論を再度”展開”し、30パターンそれぞれを固有の進行として習得していくまでの「補助輪」としての役目です。30パターンを全マスターした後に接続系理論が必要になるのは、伝統的/現代的を意図的にコントロールしたいという時だけです。

だから例えば楽曲分析の際に、コード進行の接続系を全部チェックして、それで「分析完了」の気分になってしまったなら、それは接続系理論が作られた意図とは違います。そこから「なぜここは2周目でIV-VからIIm-Vに変えているんだろう」とかいう風に、「なぜ」を考えるのが分析の本質です。そこは履き違えないように注意して頂けたらと思います。