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学習のゴールやプランを練る

By 2024.04.04序論

1. プランを練ろう

音楽理論を習得していく順序やプロセスはかなり重要で、これ次第で理論が面白くもつまらなくも感じられます。このページは「理論の勉強と実際の作曲をどんなバランスでやったらいいか」といったペース配分などに関して、参考になる情報をお届けするものです。

基本となる3つの軸

音楽理論を交えての創作活動の、軸となるものは3つです。

制作
学習
研究

3つめの「研究」というのが地味に大きなポイントですね。理論を学んだあと耳コピやコードの分析などをしてみると、新しい発見があったりします。制作の合間のリフレッシュにもなりますし、この3つをバランスよく行えるのが、創作活動の理想形です。

1ナレッジ、1プラクティス

基本的な目安として、一つ作曲に生きる知識を覚えたら、それで実際に一曲作るというペースがあって然るべきです。というのも、文章を読んで「頭」で理解したとしても、「耳」が理解するまでには実践経験が必要だからです。

本編を進める中で、説明として言っている日本語の意味は分かる。でもサンプル音源を聴いても音が「濁っている」だとか「落ち着いている」だとかいう感じが耳ではピンと来ない…というギャップは生じえます。それは音を識別する能力、すなわち音感がすぐには成長しないからです。音感というのは身体能力ですから、筋トレと同じで地道に積み重ねるしかありません

だからこのサイトで知識を得たとして、それは学習のゴールではなくスタートだと考えてください。その知識をもって実践をして、それでようやく学習のワンサイクルが完結するのだというイメージです。

サイクル

特に序盤はそのような頭と耳とのギャップが大きくなりがちなので、曲を作っても分析しても結局理論の言うことが耳ではなんだかピンと来ないという場合は、「まあとにかく理論ではそういうふうに言うらしい」くらいの認識にとどめて先へ進んでしまうのもよいでしょう。

2. 進め方

メインゾーンであるコード編・メロディ編・リズム編は、「章」と称する区切りで分割されています。章ごとに大まかなテーマが分かれており、また基本的には後ろの章へ進むほど内容は難しくなります。各章ごとのアーカイブ(目次)では、詳細に各章・各節の説明を読むことができます。アーカイブへは、ヘッダーのメニューからアクセスできます。

フリーシナリオ

SoundQuestは、フリーシナリオシステムの学習方式を提案しています。すなわち、メロディ編・コード編・リズム編のそれぞれをどのように攻略していくかは、自由です。

フリー

ただし、メロディ編II章を進むにはコード編I章の知識が要るなど、順序に幾らかの制約はあります。それについては、各章ないし各記事冒頭に注意書きがあります。

制限

ゴール設定

目次には膨大な数の記事が並んでいますが、この全てを学ぶ必要は全くありません。むしろ自分に必要な範囲まででスパッとやめる方が賢い。ここで幾つかのメジャーなジャンルを例にとり、どこをゴールにするべきかの目安を紹介します。

ゴール設定

シンプルな音楽性なら、I章までの知識でも十分です。また自由派音楽理論には禁則がないので、「○○までは進めないとルールに縛られたまま終わる」ということがありません。気軽にはじめて、好きなところで切り上げるということができます。

ただもちろんこれはザックリな目安にすぎません。常に「自分の音楽にこれは役立つんだろうか」と考えながら進めるのがよいと思います。あるいは、楽曲分析をしていて知らない技法と出くわすことがほとんどなくなったら、それが止め時というジャッジもアリですね。

ゲートウェイ

一部の章では、章のはじめに「ゲートウェイ」というページが用意されています。

ゲートウェイページ

ゲートウェイは、その章よりも前の内容の定着度をテスト形式で確認できるコーナーです。択一、並べ替え、リスニングなど様々な形式で、音楽理論の問題が出題されます。

これは「ないよりはあった方がよかろう」という気持ちで設置されたものであり、読み進めていくためにこのテストで高得点を取ることが必須ではありません。前の章の復習なわけですから、その章には直接関与しない範囲の内容も問題に含まれます。
それから先ほども述べたとおり、知識はすぐ身につけられても、音感はすぐには身につきません。なので「楽譜問題はできるけど聴き取りは全然ムリ」というパターンは普通にありえます。そういう場合、音感はまあ今後の長期課題として隅に置き、先の章へと進んでいく選択もあるでしょう。もちろん、そもそもゲートウェイを利用しないという選択肢も考えられます。

3. 編選び

基本的にはまずメロディ・コード・リズム各編のⅠ章、その次は各編のⅡ章・・・とローテーションで進んでいくことを想定していますが、どの編から読んでいくかは自由で、コード編だけを突き進むことも可能です。

しかし自由と言われると、逆に迷ってしまいますね。Ⅰ章に関していえば推奨される順序があり、それが「リズム編→メロディ編→コード編」という順です。
これはもうシンプルに、簡単な順で並べるとこうなります。コード編は、和音の知識。やっぱりちょっと難しいんです。まずは親しみやすいメロディ・リズムの話から始めて、理論の世界に慣れた頃にコード編に進むと、より心的負担を少なく進められるはずです。特にリズム編には五線譜が全く登場しませんから、そういう意味でもハードルが低くなっています。

4. 音楽理論の外側

より根本的な話として、音楽制作に必要なスキルは音楽理論に限りません。

  • 楽式論
    「メロ/サビ」「フック/バース」「テーマ/アドリブ/テーマ」「提示部/展開部/再現部」といった、曲の“パート”の構成法。ジャンルによって異なる定番の形式がある。
  • 編曲技法
    どんな楽器編成にして、それぞれの楽器にどんな演奏をさせるか。
  • ミキシング論
    各楽器を左右のどこに配置するか、音量をどうするか。リバーブやエコーの調整、周波数バランスの調整などなど。これもジャンルごとの傾向差が激しい。
  • 機材の技術
    ドラムやシンセなど楽器の使い方、エフェクターの使い方、作曲ソフトの使い方といった知識全般。

こういった知識は基本的に、「音楽理論」と名を打つコンテンツではほとんど紹介されません。人によって必要な知識に違いがありすぎるため、これはもう各人が別口で勉強してねという話になります。

例えば自分で一から十まで曲を完成させる人の場合、いくら理論の知識があっても編曲やミキシングの技術がないと、「なんか難しいことやってるのは分かったけど、普通に音がショボいよね」という悲しい評価を受けてしまう可能性は十分あります。ですからぜひ音楽理論だけに傾倒せず、必要な知識をバランスよく仕入れていってもらえればと思います。


進め方がどうであれ、最も重要なのは学習を急がないことです。実践があって初めて知識は身になります。もし本編を完全制覇するなら、普通に4年はかかっても全くおかしくありません。それは、本編を読むのに4年かかるという意味ではなく、学習・分析・実践をバランスよく行いながら読み進めていったら、終わる頃には4年くらい経っていて当たり前ということです。急がず着実に進みさえすれば、音楽理論を習得することは難しくありません。一歩一歩着実に進んでいきましょう。

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