メジャーコードの5度変位

コード編 Ⅲ章:新しい名前
Information

今回は「新しいコードネームを知る」回です。

メジャーコードを変化させて新しいコードを作ります。今回は臨時記号(♯・♭)を使うコードなので、かなり独特な響きがします。聴きやすいコードを中心に使うダンスミュージック等の電子音楽ではあまり使われませんが、ポップスではスパイスとして持っていると武器になります。


さて、それでは手始めに、メジャーコードの第五音(5th)を上下に半音ずらすところから始めてみましょう!

maj + up
maj + down

Cメジャーキーで言うところの黒鍵を使うことになるので、臨時記号が付くということ。なかなか面白いサウンドになりそうです…。

#1 ♯5と♭5

新しいコードの名前はカンタン。第五音を上に移動させたやつには「"♯5(シャープファイブ)"」、下に移動させたやつには「"♭5(フラットファイブ)"」という記号を、右上に付加します。

メジャーの5th変位

まさに名は体を表す。右肩に数字が乗ったコードネームって、一見難しそうですが、きちんと度数とかコードの積み方の原理が分かっていれば、コードネームの意味を汲み取ることができます。この2つのうちでは、「シャープファイブ」の方が利用上の重要性が高く、様々な場面で用いられますので、解説もそちらを重点的に扱います。

#2 サウンドを聴いてみる

早速そのサウンドを聴いてみましょう。これらは存在自体が特殊なコードなので、簡単には使えません。あくまでも刺激物として曲中に組み込みます。特定のディグリーにおける用法がいくつか定番になっているので、それを少しずつ吸収していくとよいです。

Iの5/5

フラットファイブもシャープファイブも特殊な響きなので、これを本来「安定」役であるIで使うとなかなか強烈です。

II(♯5)I(♭5)I

イントロや間奏のスパイス的な位置に使うといいですね。

こちらの曲のイントロギターで、まさに先ほどのサンプルコード進行が象徴的に用いられています。典型的な導入例と言えるでしょう。

Vの5

Iのほかには、Vのシャープファイブ化も定番。

Vaug

V(♯5)は、増大した音程が独特のおどけたような雰囲気を演出することでおなじみです。また構成音の流れを見ると、レ→ミという美しい半音の流れを構成できていることが分かります。

またもスピッツ。「甘いランデブー」のあとのギターのストロークが、V(♯5)です。そこだけ独特なサウンドなので、分かりやすいのではと思います。

III、VIの5

ほか、クオリティチェンジで持ち込んだIIIVIのコードも、シャープファイブにする演出は定番です。

IIIaugとVIaug

どちらもクオリティチェンジで一段階上の盛り上がりを演出するようなコードなので、そこにさらに一味加えるといったところ。この2コードは、第五音を半音上げてもそこに関して臨時記号が生じません。シがドに、ミがファに変わるだけ。だから使いやすいんですね。

IV7IIIVIm7VI

これが単なるクオリティチェンジのみの状態。今となってはこれも、普通のコードに思えてきますね。そこでIIIとVIの第五音を半音上げてみます。

IV7III(♯5)VIm7VI(♯5)

このとおり、響きが複雑化されて、より大人っぽくなりました! 今回のジャズ調の音源では、こちらの方がよく似合っています。1

#3 セブンスコード化する

ココまではトライアドが基準でしたが、II章で述べたセブンスコードを基にしてシャープファイブのコードを作ることも当然可能です。それぞれのコードの第五音を半音上げればいいんですからね。

セブンスコードのシャープファイブ化

複雑なコードネームも、こうやって基本形とのつながりで考えてあげれば、混乱しにくいです。セブンスコードにすることで、より複雑・リッチなサウンドを得ることができます。

IV7III7(♯5)VIm7VI7(♯5)

上の音源と比較すると、本当に微妙な差ではあるのですが、こちらの方が深みがあって今回の曲風に合っています。ジャズなど大人びた雰囲気の音楽では大概このセブンスコードの方が好まれますね。
逆に、先ほどのスピッツのようなロックな使い方においては、シンプルなトライアドの方が良いということも全然あり得ます。どちらにするかは、これまでの他のコードと全く同じです。サウンドをシンプルにしたいか、複雑にしたいか。

キーに対してダイアトニック

今回で分かった地味に大事なこと。ドレミファソラシドは全音半音が不ぞろいなので、特定のコードでは「ずらしても臨時記号がつかない」という現象が起きます。

つかない

Emは5thがたまたまシだったから、半音上げても「ド」になるだけ。Amはミが「ファ」になるだけ。このようにある局面でその時のキー本来の音に由来している、つまり臨時記号を必要としない音のことを、キーに対してダイアトニックDiatonic to the Keyであるといいます。ちょっと長めの用語になりますが、「臨時記号を必要としない」と言うよりかはスッキリしています。この「キーに対してダイアトニック」という言葉は、今後コードを難しくしていくにあたっての重要な判断基準になるので、わざわざ用語が用意されているということを頭の隅に置いておいてください。

こんな感じでIII章では、メジャーコード・マイナーコード以外のコードについての知識を広げていきます!

まとめ
  • 第五音を半音上げ下げすると、コードネームにもそれぞれ(♯5)、(♭5)という修飾が付きます。
  • 特にメジャーのシャープファイブは重要で、音の間隔が広がったことによるユニークなサウンドを持っています。
  • セブンスコードにして使うと、よりリッチなサウンドを得ることができます。

Continue