近親調

コード編 Ⅱ章:新しい音響
Information

今回は「言葉を知る」回です。

準備編で「調」について学びましたが、今回は調と調の関係性について説明します。例えば転調をした時に、どんな転調をしたのかといった分析をする際に必要になる言葉です。次回の内容で必要になるためここで紹介しますが、そんなに頑張って暗記する類のものではありません。


#1 たくさんの調性

「調」は全部で24個あります。黒鍵を含めた音がドからシまで12個あり、それぞれに長調と短調があって、全部で24個です。

この24個の調ですが、中には関係の深い調とそうでない調があり、そして関係の深い調へは転調しやすいといった性質がみられるのです。
そこで音楽理論では、関係の深いものを近親調Closely Related Keyと呼び、それ以外のものを遠隔調Distant Keyと呼ぶことで区別することにしました。その「関係の深い調」を紹介するのが、今回です。

この「近親調」の知識は、ややこしいわりにあんまり登場する場面が少ないです。だから、そんなに頑張って暗記しなくてもよいです。なんかそういう分類があるんだなァと、思ってもらえればOKです。

#2 近親調

近親調は4つあります。それぞれ元となる調と親しい要素があるのがポイントです。

主調 (Tonic Key)

Cメジャー

「関係」というのは相対的なものなので、その基準となるのが主調です。今回は「Cメジャーキー」を主調にして考えてみます。

同主調 (Parallel Key)

Cマイナー

「トーナル・センターが同じで、長短が違う調」のことを同主調Parallel Keyといいます。「Cメジャーキー」に対する同主調は、「Cマイナーキー」です。要するに、「メジャー」と「マイナー」をひっくり返せばいいだけのこと。

もうちょっと細かいことを言うと、今回のように主調が「メジャーキー」なら、同主調は「マイナーキー」になりますから、この調ことを「同主短調」と呼ぶこともあります。
逆に基準となる主調が「マイナーキー」の時には、同主調は「メジャーキー」になりますから、その調のことは「同主長調」と呼んだりもします。

平行調 (Relative Key)

Aマイナー

調号が同じ、レラティヴなスケールによって成り立つキーのことを平行調Relative Keyといいます。

同主調と混同しがちなので注意。こちらは調号が同じというのがポイント。「Cメジャーキー」に対する平行調は、「Aマイナーキー」です。
準備編でやった「レラティヴなスケール」という言葉を覚えている人にとっては、分かりやすいですね。レラティヴなスケールを使っているからレラティヴ・キーです。

属調 (Dominant Key)

Gメジャー

キーの属音をリーダーにしている調のことを、属調Dominant Keyといいます。

Cメジャーキーにおける「属音」はなんだか分かりますか? 「属音」とは、主音から5つ上の音につけられる名前でしたから、ド・レ・ミ・ファ・ソで「ソ」だと分かります。その「ソ」をリーダーとする調、つまり「Gメジャーキー」が、Cメジャーキーにとっての属調となります。

下属調 (Subdominant Key)

Fメジャー

キーの下属音をリーダーにしている調のことを、下属調Subominant Keyといいます。

Cメジャーキーにおける「下属音」は、ファの音でした。ですから「ファ」をリーダーとする「Fメジャーキー」、それがCメジャーキーの「下属調」と呼ばれます。

#3 ここでも五度圏

もしある調の平行調、属調、下属調を知りたいという時には、早速あの五度圏が活躍します。
この3つの近親調は、主調のすぐそばに配置されているからです。

五度圏と近親調

五度圏の両隣に属調と下属調がいて、同じ角度のエリアにいるのが平行調がいます。
ですから結果として、「属調」は元の調よりもシャープが1つ増える(orフラットが減る)、「下属調」は元の調よりもフラットが1つ増える(orシャープが減る)という法則が成り立ちますね。

また、同主調は単に「メジャー」と「マイナー」を入れ替えればいいだけですが、五度圏で探したい場合は、90度進んだところにいます。

同主調

この法則は、基準となる調がどこであろうと成り立ちます。こういうところに音楽理論の数学的な側面というか、美しさみたいなものを感じて頂けたらと思います。

4つの近親調を紹介しましたが、先述のとおり、あまり出番の多くない知識です。クラシックの楽曲分析なんかでよく使われるかなくらいの感じ。こうした◯◯調という言葉に出くわした時に、「そんな用語あったな〜」と、またこの記事を見にくれば、それで大丈夫です。

最後に簡単に、表にまとめておきましょう。

日本語 英語 概要
同主調 Parallel Key 中心音が同じ、長短が逆
平行調 Relative Key 調号が同じ、長短が逆
属調 Dominant Key 属音をリーダーに
下属調 Subdominant Key 下属音をリーダーに

「同主調」は英語で「Parallel key」、でも「Parallel」は和訳すると「平行」。ここがちょっと紛らわしいところですね。そのために、誤って紹介してしまっているコンテンツもたまにあります。そこだけは注意してほしいかなと思います。1

この節のまとめ
  • ある調(主調)に対して関係の深い調を近親調といいます。近親調へは転調しやすい、などの特徴があります。
  • 近親調には「同主調」「平行調」「属調」「下属調」の4つがあります。

Continue