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セブンスやテンションの活用

1. 音を付加すること

さて、音楽は自由と言いながらも、ここまで進んできて紹介されたコードはたったの6つ。「お団子がさね」も決まってしまっている。これじゃ全然“自由”が感じられないという人もいることでしょう。ごもっともです。

基調和音

この基調和音たちにプラスして音を追加すると、まだ説明されていない応用的なコードが生まれることになります。その詳しい紹介は当然もっと後になるのですが、でも色々試したいですよね! だから現状でも試行錯誤が出来るように、いくらかサポートをしたいと思います。

濁りは旨味

1-3-5度まで積んだ「3個のお団子がさね」は音に濁りがなく、最も使いやすいコードの基本フォームです。

しかし実際のところ、「濁り」は音楽をより豊かにするためにものすごく重要な存在で、これを活用することでより繊細な表現が可能になります。

音を混ぜる組み合わせ次第で無限の表情が作れる。こうした可能性を封印したままでいるのは確かにもったいないことです。なんとかしてコードネームに詳しくない現段階でも使えるような指標を提供したいと思います。

2. 一音付加の実験

この音の付加によるサウンド変化は、「他のコード感が混ざる」「他のコード感を掛け合わせる」と捉えると、おおむね外れなく分かりやすいと思います。

例えばCにラの音を足すと、当然Amに構成音が近くなりますよね。だから「Cにラを足すと、CとAmが混じったような質感になる」という風に理解すれば、ひとまずある程度は実践性のある認識になります。

付加6度

ご覧のとおり、ド・ミ・ラのAmと構成音が似ます。だからそのサウンドは、元々のCと比べるとちょっぴりAmの風味を含んだものになる……といった風にコードの質感と原理を解釈することができますね。

ちなみに、ルートからみて6度の音を足しているので、右肩に「」と添えておきましたが、これは正式な表記ではなくて、現段階での単なる注釈です。もう少し遊んでみましょうか。

Iに濁りを加える

音源はまず普通のI、それから6°、7°、2°を付加したものです。どれも魅力的な濁りです!

VImに濁りを加える

今度はVImに対して6°、7°、2°を付加してみました。臨時記号が生じない、音階本来の音を足してあげる分には、メチャクチャなことはそうそう起こりません。けっこう自由にやって大丈夫です。

コードネームは気にしない

7度を足した和音は「セブンスコード」といい、2・4・6度を足した和音は状況により「テンションコード」や「アドコード」などと呼ばれますが、これはいずれも総称で、個々の命名システムにはかなりややこしく、暗記が一筋縄ではいきません。

コードネームは大変

記号の種類がとても豊富で、ココは理論学習における大きな挫折ポイントになっています。

しかし考えてみると、たとえ名前が分からなくても、コードを使いこなすことは可能です。コードネームはあくまでも理論を体系としてまとめるために用意した「音の名前」であり、そこをすっ飛ばして「音の用法」の理解を優先するのもひとつの戦略です。

音楽理論の知識は名前、用法、様式の3レイヤーに分けて考えるとわかりやすい

確かに名前を覚えてから用法へ進む方が体系的な理解ができるのはそうですが、体系的な学習が効率的な学習であるかどうかはまた別問題です。勉強はしつつも、イイと思った音は知らないコードでも積極的に使っていく。それは少しも悪いことではないし、ある意味かっこいいですよね。

俺はこのコードの名前を知らない。だがこのコードが美しいということは知っている…

全然かっこいいです。理論を学び始めたからといって、名前の知らないコードを使うことに躊躇する必要などないのです。具体的なコードネームが分からなくても、ここで説明するような内容を理解し音を使いこなせるようになれば、それでもう十分あなたは「セブンスコード」や「テンションコード」の使い手です!

コードネームが必要になるのは、あるコード進行を他人に伝える時やコード譜を元に演奏する時などであって、これは必要な人間とそうでない人間がいます。コードネームの暗記は“必修科目”ではなく“選択科目”だというくらいの認識でいればよいです。

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