声域区分法は“決められた音域に対して”それを区分していく方法論であって、最高音・最低音を“どう決めるか”については、そもそも声域区分法が論じるところの範囲外です。たとえば記事中でも、アイドルの楽曲と音域の広いボーカルの楽曲では、範囲の取り方が全く違いましたよね。あるいは「下のソからオクターブ上がって、裏声ならさらにその上のミまでは出せるぞという人間がいたとします。」という仮定のもと話を進めたりしていて、声域区分法自体は音域の上下設定に何ら関与していません。
歌モノであればボーカリストの声域によって自動的に範囲が決まるわけなので、その「決まった後の配分の仕方」からが声域区分法の仕事です。
ピアノのような楽器音の音域設定については、普通に自分が目標とするスタイルの既存の楽曲を参考にしたり、オクターブごとのサウンド差から検討して、決めていくべきでしょう。
もちろん「ファは傾性音」「中心音への到達は終止を感じさせる」といった「調性引力論」自体は楽器を問わず通用する話ですが、「声域区分法」はあくまで歌モノが前提の方法論です。それ以外の場面で使用する価値があるかどうかは疑問です。