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先月、u-heから待望のZebra バージョン3がリリースされました。

そして光栄なことに、今回わたしもPLUGMON名義でファクトリープリセットの制作に参加させていただきました!

22個納品したよ

なるべくZebra3の機能を満遍なく使ってプリセットを作っていくことを意識したので、ひととおり巡ればZebra3のやれることがけっこう見えるのではないかと思います。

主なプリセットを演奏した動画がこちらです⤵︎

私は昨年の11-12月にかけてプリセットを制作・納品し、その後も個人的にプリセットを制作したりスキンいじりをしながらリリース日を迎えまして、たぶん現時点では日本でいちばんZebra3を使いこんだ人間です。そのガチユーザーの目線から、この記事ではZebra3がどのような変化を遂げたかを紹介していきます🌞

1. 概要

まず旧Zebraユーザーの方向けにZebra3の大きなパワーアップポイントを簡潔に述べると、以下3点です。

  • 物理モデリング系モジュールが追加
  • Divaみたいなアナログ系フィルターが充実
  • Hiveみたいなモジュレーションシステムを搭載

ですのでまず「Hiveの操作感が気に入っていて、その感じでもっと複雑なシンセシスをしたい」という人、それから「Zebra2の全体的な感じは好きだったが、フィルターに満足していなかった」という人は新たに試してみる価値ありです。そして「減算合成・加算合成・FM・物理モデリングが全部まとまった快適なUIのモジュラー環境がほしい」という人にはかなり理想的な仕上がりになっていると思います。

Zebra2も非常に多機能なシンセでしたが、Zebra3はもはや機能が多い少ないとかいう話じゃなく、思想の尖り方が崇高さを感じさせる域に入っているというのが個人的な印象で、その辺りも詳しくお話ししていきたいと思います。

Zebraというシンセの立ち位置

そしてZebraというシンセを知らない方のために簡単にその立ち位置を説明いたしますと、Zebraは「OSC」や「Filter」「ENV」といったシンセのパーツを自分で繋いで組み合わせて自由に音作りをしていく多機能シンセサイザーです。

Zebra3の画像。自分でシンセのパーツを選んで音作りを完成させていく、自由度の高い上級者向けシンセなのだ

左、右、下の3箇所にラック(棚)があって、それぞれ種別の異なるパーツを必要なぶんだけ追加していく仕組みです。ケーブルこそないですが、小さなモジュールを追加していく「モジュラーシンセ」と仕組み的に同類なので、Zebraは「ワイヤレスモジュラーシンセ」と呼ばれていて、同類のソフトシンセとしてはKiloheartsのPhase Plantがいます。

このタイプのシンセはプリセットによってモジュールの編成や配線が異なるため、プリセットの構造を理解するために要求される知識の度合いが高く、それゆえ上級者向けです。

構成の自由度が高いことからサウンドとしては複雑なものを得意としており、鍵盤を押さえている間にどんどんサウンドが変化するパッドやベースラインなどがプリセットとして充実しています。
特に映画音楽の用途としてZebra2の評価は高く、『ダークナイト』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『インターステラー』などの作品の作曲家として知られるハンス・ジマー愛用していることでも有名です。

一方でEDMで使うようなシンプルで派手なリードやベース等がZebraで作れないことはないですが、そういったサウンドを作るには必要以上に難解だし、また派手なエフェクターのラインナップも豊富でないため、そういった用途には不向きです。

万能なタイプではあるが、万人向けではない。そんな立ち位置にZebraはいて、それはこの最新バージョンであるZebra3でも変わりません。

2. 新規モジュール

既存のモジュールに進化が加わったのはさておき、まず完全に新規登場したモジュールを紹介していくと、ジェネレーター系が2つ、エフェクタが2つあります。

Modal

Modal物理モデリング系のモジュール。とりあえずユーザーガイドから説明を引用すると…

物理的な物体を叩いたり擦ったりした際の音響的な応答には、その物体の材質・大きさ・形状・励起エネルギーに関する情報が現れます。
打撃位置、吸収特性、モード分散といったパラメータを調整することで、金属的な打楽器サウンドから柔らかく共鳴する木製ボディのような音色まで、幅広い音作りが可能になります。
そのため Modal Resonator は、“フィジカルモデリング” 系サウンドデザインのための強力なツールとなっています
Zebra3 user guide (p.64)より翻訳.

ベースとなる素材としてはガラス、マリンバ、缶、ベルなどが用意されていて、2つをブレンド可能。なおこのモジュール単体では音が鳴らず、典型的にはホワイトノイズなどをInputとして流し込んであげる必要があります。
とにかく木材・金属系サウンドはこのモジュールで簡単に作ることができて、想像以上にオーガニックな鳴りがします。素材のブレンドや各種パラメータをいじると作れる音の幅もなかなか広く、私はこのModalを用いてガムラン風のゴング音や、ガラス・木・竹をイメージしたマレット系プリセットを制作しました。

“Forbidden Isle” → “Attic Antique”

Attic Antiqueはモッドホイールやマクロによって素材の質感を変質できるという仕組みのプリセット。サンプルベースではないので、素材間を自然にモーフさせたり、エンヴェロープなどの質感を好みに追い込むことができる点が魅力ですね。(単にリアルな音が欲しいだけならサンプルが一番なので・・・)

素材データはなんとオープンソースのCSVファイルになっていて、閲覧・編集が可能です。

見た感じ、任意のパーシャル(部分音)の強さと減衰速度を記述する形になっています。ご覧のとおり非整数の倍音も指定できるということで、木材や金属系の音色のベースとしては軽量ながら効率的なのでしょう。システム上はカスタムCSVを自分で用意することもできますが、CSV作成のためのツールなどはまだ公開されていなさそうで、まだちょっと敷居が高いかな?と。今後に期待です。

Exciter

Exciterは、Aphex Vintage Aural Exciterのようないわゆる倍音強調・付加系のエフェクターではなく、「プツツツッ」や「カカッ…カカッカッ」といったまばらな複数回の短いインパルスやノイズの生成に特化したモジュールです。

物理モデリングの分野で、「Modal」のような音響体構造を再現する部分をResonator、対して最初の打撃自体を再現する部分をExciterと呼ぶそうで、このモジュールは主にはModalやCombで音作りをする際の大元となるノイズの生成源、さもなくばハイハットのようなノイズ系サウンドの再現として直接用いるのがメインの用途になりそうです。

私はドラムシーケンサー系パッチのハイハット部分にこのモジュールを用いたりしました。

“Detroit Expolit” ハイハット部分

本当にイメージだけで言うと、これは「砂粒」をコントロールするようなモジュールです。Numberで粒の数を指定し、Distanceで粒が鳴る間隔を指定する。Jitterでランダム感を調整し、Envelopeで「ジャッ」とか「スジャァッ」みたいな音量の曲線を描く。

これをModalに流し込んであげると、コロコロと連打するマレット系サウンドなんかがいとも簡単に作れます。

ExciterとModalだけで作った簡単なサウンド

そんなわけで、Zebra2と比べるとこの物理モデリング方面の能力が大幅に強化されたというのが、Zebra3の目玉のひとつとなっております。

その価値については評価が分かれるところで、単に具体的な楽器の音が欲しいだけであれば正直サンプル音源で十分です。そうではなく“シンセサイザー”による音作りのパレット上にこの手の表現力が欲しいと思うシンセシストにとって、Zebra3は前バージョンから大きな飛躍を遂げたと言えます。

“Spirited Away”

こちらはNoise,Comb,OSC,Modal,Filterそれぞれ1つずつを使って作ったパッチ。Combは特に撥弦系、Modalはマレット系の再現が得意ということで、二者が揃うことでオーガニックなサウンド領域に対して隙がなくなった感じがします。

8Tap / Texture Verb


エフェクタで新規追加されたのが、8タップディレイの「8Tap」とグラニュラーリバーブの「Texture Verb」です。

8Tapは文字どおりタップ数の多いディレイ。Texture Verbの方は、残響音のピッチを変えたり逆再生させたりできる優れもの。ただ個人的にはこの手の空間系エフェクタはシンセの外で処理することが多く、残響で豪華に飾り立てたくないという個人的信条があったりしまして・・・・私はあまり活用していません。

とはいえファクトリープリセットにはこうした新エフェクタを活用したアンビエントやパッド系のサウンドが充実しております。

“Antarctica”

3. オシレーター

音作りの核となるオシレーターについても見ていきます。まず根本的には方式がウェーブテーブルか加算合成かが選べて、波形や倍音構造を自由に描けるというシステムから変更はありません。
一方で、波形のエディター画面は描画のツールが色々と追加されて強化されています。

ただ実際にここで波形をグリグリお絵描きするかといえば、実際にはZebraの強みはその先のスペクトラルFXであったり各種モジュレーションであったりするので、ここのドローイングで細々とした作業を頑張ったサウンドデザイナーは決して多くないのではと思います。ポジティブな言い方をすれば、ここの使い方をマスターしなくたっていくらでもZebra3は良い音が作れます。

実際問題OSCのプリセット数は極めて少なく、そもそもこのウェイブテーブル部分だけを差し替える方法が基本的にはなくて、HiveやSerumのように「たくさんある波形から1つを選ぶところから始める」みたいなワークフローはZebraにおいてはほとんど想定されていません(ここがZebraのとっつきにくさの大きな一因であります)。

16フレームのMophable OSC

ウェーブテーブルの設計思想についてもかなり尖っていて、Hiveのように一般的な.wavファイルを読み込むことはできません。Zebra独自の形式で、1つのオシレーターの中に最大16個の波形を保有する形になります。
一見「たった16フレーム!?」と思ってしまいますがそうではなくて、そのフレームどうしの間の波形の遷移をかなり繊細に設計することができる仕組みになっています。

たとえばこちらはPWMの波形を構成している図。デューティ比1:1のスクエア波と、グ〜〜っと幅の狭まったパルス波の2つだけがあって、青緑の線は「この点がこの点に移動するようにモーフします」という対応関係を示しています。これでもう、PWM波形の完成です。
要するにこれは、通常のウェーブテーブルシンセの「波形の変化を256枚の波形ファイルで再現する」というコマ撮りアニメのような仕組みはあまりにも原始的すぎるだろう、もっと根本的にエレガントなやり方をしようというアンチテーゼなのです。

確かに現代(もしくは未来)の音質水準において、256フレームが十分であるかは怪しい。それに256フレームぶんの波形を制作するのは大変で、普通のユーザーには出来ません。Zebra3が新しいアプローチを試みたことは、Zebraの立ち位置や理念を考えれば納得できるところです。形式の一般性やとっつきやすさよりも、方法の美しさや音が綺麗になる可能性にこだわる。この辺りがZebra3を“崇高”と称したい理由のひとつであります。

ちなみにそもそも「ウェーブテーブル」という言葉は現代だと先述の“コマ撮りアニメ”方式を指す言葉ですから、もはやZebra3はウェーブテーブルシンセではないと、Ursは掲示板で述べています。「ウェーブモーフシンセ」とか、何と呼ぶのかは分かりませんが、とにかくZebra3は未開の荒野へと足を踏み出しているのです……。

インポート機能

なおこのエディターには、1フレームぶんの短いwavファイルをドラッグ&ドロップでインポートが可能です。私はこの機能を用いてハードシンセから録音された波形を取り込み、中間のモーフを自分で設計してプリセットに利用しました。

“Minomonta”
“June Memories”

こういうクラシックシンセには本来“中間波形”はありませんから、それをZebra3のエディターで「こう動いたら良い音になるかな」と想像してモーフを設計していくプロセスはかなり楽しかったです。ただ点を狙いどおりの位置と結びつけるには挙動のコツを掴む必要があり、少々苦労はしました。まだこの「ウェーブモーフ」という分野がまだ発展途上であるのを感じます。

4. フィルター

もうひとつのシンセの顔であるフィルターについて。Zebra2ではFilterとXMF、ZebraHZだとD-VCFと色々バラけていましたが、Zebra3ではシンプルに全部「Filter」のモジュールに集約されました。種類は13種類で、それぞれLP/BP/HPがあったり、Poleの種類があったりさまざま。またユーザーガイドから説明を拝借すると…

Linear クリーンでシンプル、最もCPU負荷の低いオプション。Drive は使用されません。
Vanilla かなりCPU効率が良く、Drive も利用可能。なお HP モードでは Resonance を上げると典型的な「ピークフィルター」のような挙動になります。
SVF クラシックな State Variable Filter のエミュレーション。
Ladder クリーミーな質感。Resonance と Drive を上げると、低音域が“ぶくぶく”した感じになります。
Cascade OTA モデル。Resonance と Drive を上げると“煙っぽい”質感になります。
Impossible C ハードウェアでは実現不可能な OTA カスケード回路のアナログモデル。
Expanse 24dB ローパスを分解したような構造。他のモードではポールや入力が興味深い形でミックスされます。たとえば HP 6dB モードで Resonance を少し加えてみてください。
Excite Drive が周波数依存のExcitationを加えます。
Mid Drive Drive が中域周波数をブーストします。
Old Drive Drive がヴィンテージ風の偶数次倍音を加えます。
Yellow 独特な歪みを持つ、風変わりでCPU負荷の高いモデル。非常に大音量になることがあります。
Allpass 4ポール〜12ポールのオールパスフィルター。Resonance を上げるとシンプルなボーカルフィルターになります。
Phaser 4ポール〜12ポールのフェイザー。Allpass と同様ですが、原音がミックスされています。

LadderやCascadeのような基礎的なアナログ系フィルターがようやく標準搭載されました。しかしDivaのUhbieのような、LP-BP-HPを連続的に行き来するタイプのフィルターがないのは残念ポイント。それをやりたい場合、OSCのスペクトラルFXの方で実現することになります。

Divaと比べるとMS-20を元にした「Bite」に相当するものがZebra3にはありませんが、代わりにWASPをベースにしたYellowというフィルターが加わっていて、コイツがかなりアクの強い音を出してくれます。

“Baby Barky Biter”:Yellowを使用

フィルターの品質に関して、Urs HeckmanはKVRの掲示板で次のように語っています。

Diva のフィルターより“実機に近い音”になっているわけでは決してありません。ただ、Cascade、Ladder、Impossible(これは参照元の実機がありませんが)、そして Expanse に関しては、できる限り良い音になるようかなり調整を加えました。

Yellow は実際にオリジナルの Wasp フィルター設計をベースにしていますが、Zebra 3 では簡略化されています。(…)
SVF と Vanilla は、発音数の多いパッチ向けです。Linear では物足りない場合に使うと良いでしょう。あるいはZebra 2フィルターを刷新した Excite / Mid Drive / Old Drive もおすすめです。これらは懐古的な理由で追加されましたが、オーディオレート・モジュレーション向けに改善されています。

“アナログ系” フィルターである Yellow、Impossible、Expanse、Ladder、Cascade は、モノや低ポリ数で使った方がよくて、キャラクター性が本当に重要な場面向けですね。
Zebra 3 Public Beta Revision 20399の投稿より翻訳.

個人的にはImpossible Cフィルターが絶妙にスウィートな質感を出してくれる場面が結構あった印象で、フィルターに関してはZebra2の時から相当強化されたように感じます。

“Hyperprism”:Impossible Cを使用

5. Pitchesタブ

SynthesisタブとPresetsタブの間に置かれた「Pitches」というタブについても説明せねばならないでしょう。

この画面に並ぶ「ピッチベンド」や「グライド」、「ビブラート」といったピッチ関連のパラメータは、Zebra2では全体で1つでした。大量のモジュールを組み合わせて音を作るのに、最終的にビブラートをかけようとしたら全員同じだけかかる。これは機能的に貧弱でした。しかしかといって、各モジュールごとにビブラートやグライドのノブを置くのもかさばるし、調節も大変。
1つにまとまっていた方が楽な場合もあるし、ときどき個別に設定したい時だってある・・・。じゃあどうするか? そこで出た結論がこれです。

結論さん
ピッチ系のパラメータの設定を4セットまで保管できるようにして、各モジュールはその4つから好きなものを選ぶようにすればいいじゃん!!

外に逃がして参照する」という、非常にプログラマー的視点で編み出された設計です。これなら最初はPitch 1だけをいじればいいから手間は増えないし、個別に設定したくなったらPitches 2~4を活用すれば小回りも効く。実践上は、4つも設定があれば大概の場合は事足りる。実にスマートな落とし所です。

特にModulationの項目があるのがありがたくて、たとえばMSEGで全OSCのピッチを動かすと決めたとき、各OSCにひとつひとつMSEGから結線していくのは面倒。それがこの“変数システム”であれば、このピッチ画面で1箇所設定すれば終わり。めちゃくちゃ楽です。

しかし他のシンセでは見たことのないタブが増えたことで、とっつきにくさはさらに増しました…。ここでも初心者に対しての分かりやすさよりも上級者の作業効率を選んで設計をしているということで、やっぱりシンセとしての高みを目指す崇高な姿勢を私は感じました。

6. その他の変更点

ほか、既存のモジュールはいずれも概ねパワーアップしています。ノイズモジュールは1回キーを押すだけで複数回音を鳴らせるようになったり、FMOも3OPとなりアルゴリズムが色々いじれるようになったりなど。


しかしとりわけインパクトが大きいのは、MSEGがマルチテーブルに対応した点です。

1つのMSEGにつき8個までのエンヴェロープを保有してモーフすることが可能になりました! MSEGの波形のシステムはOSCのものと同一であり、中間のモーフィングも細かく設計が可能。MSEGは主にシーケンサー系の音色でピッチや音量の細かいカーブを設計する時に使用するわけですが、そういったシーケンスのパターンをパッチ内で変化させられるようになったということです。

私はこの機能を利用して、7種類のパターンからモーフ可能なWobble Bassのパッチを作ったり、8種類のスケールを行き来できるプラックシーケンスを作るなどしました。

“Seven Steps to Abyss”
“Chrysalis Stance”

これはSerum2でも出来ないことだし、これができるシンセは相当珍しいのではないかと思います。使ってみると分かりますが、マルチテーブルMSEGは音作りにおいてバチボコに便利です。きっとこれからドンドンほかのシンセに真似されて一般化していくでしょう。

グループ機能

また、グリッド内の任意のモジュールを「グループ」にまとめることができるようになりました! これは神です。

「FM Brass」グループを選択中

モジュールが増えてくると何がどうなってるかこんがらがるというのはこの手のシンセにつきものですが、グループをクリックするとそれ以外のモジュールが非表示となり、必要な作業に集中することができます。こういう地味だけど効果絶大な改善をキッチリと盛り込んでくるところもu-heが長く愛される理由でしょう。

なくなった機能

一方で削られた機能もあって、最大の点としてアルペジエイターとシーケンサーがなくなりました。今後v3.1かv3.2あたりのアップデートでのTODOリストに入っているとのことですが、現在はMSEGなど諸々の機能を使ってこれを代替しています。

例えばENVモジュールには「Trigger」というメニューが追加されたので、鍵盤を押しっぱなしにしてる間でもLFOなどをソースにしてENVを好きなだけ起動させることができます。

これだけで16thの連打になる

これはシーケンサーを不要視してるというより、単に初期段階の開発の負担を少しでも下げたくて後回しにしたという話だと思います。また実際ピッチパネルやマルチテーブルMSEGを活用すれば並のシーケンサーよりよっぽどクリエイティブな音色が作れるので、サウンドデザイナーたちが楽にシーケンサーを使って凡庸なパッチで完結しないように外したという意図も1割くらいあるかもしれません。
とはいえ一般ユーザーの簡易的なツールとしては絶対にあった方がよいので、今後のアップデートに期待するところです。

それからXYパッドも廃止となり、代わってCtrl A~Dと呼ばれるマクロノブが搭載されました。マクロノブはDAWのオートメーションでもコントロール可能。
これについてはパッチ作る側目線で言うとXYパッドというのは「どう動かしても成立しないとダメ」というのが足枷となり、結局大したパラメータをアサインできないというネガティブな印象が個人的に強いです。だから今回マクロノブになったことはありがたくて、けっこう大胆で面白いサウンドチェンジをマクロに含めることができました。


というわけで、Zebra3は予想外の新機能を搭載しつつも、全体としてはZebra2から順当な進化を遂げた印象です。DivaやHiveとは違ったZebraの追い求めるべき価値は何かを考えたとき、まず物理モデリングというu-he未踏の領域へ。そしてモジュラー環境としての使い勝手の改善、マニアックで奥深い機能の拡充。

高度な機能がたくさん盛り込まれたことで、Zebraに初めて触れる人にとってはますます難解なシンセとなったのは間違いありません。しかし総合的なシンセシス環境としてのZebra2を気に入っていた方であれば、Zebra3は手を伸ばす価値が十分にあります。

この画面を見て「ウッ・・・」となる人にとっては、Zebra3は地獄。一方これを見てワクワクしてくる人にとっては、Zebra3は天国となるでしょう…。