「傾性」が発生する要因の大きなひとつが「半音関係」なので、長音階のセンターをドと呼んだばあいの「シ」のふるまいと、短音階のセンターをドと呼んだばあいの「シ」のふるまいは、当然違って感じられます。
ですからまさに、長音階に直して考えることになります。
ただし「長音階に“直す”」という表現には少しだけ違和感があって、というのも自由派では、CメジャーキーとAマイナーキーのような「レラティヴ」な関係にある二者は、「事実上は境目のない同一の存在」であるという前提から理論がスタートしているからです。
そして、「ドとラで中心を取り合っているイメージ」というような説明もしているので、少なくともメロディ編においては、「AマイナーキーではA音をドと呼ぶ」という考え方自体がありません。
↑こちらのシステムに基づくと、「長音階ではファ・シが半音関係を持つので強傾性音となり、短音階ではレ・ラが半音関係を持つので強傾性音となる」という説明になると思うのですが、このような説明は回りくどいしややこしいですよね。
↑ゆえに自由派では上のような形をとり、「ファとシが強傾性音。暗い曲調では、ラがセンターを務める」という捉え方をします。ですので、今後もこのような前提で読んでもらえたらと思います。
(ちなみに短音階の場合に各音の傾性がどのように変わってくるかについては、本編では述べられていませんでした。II章に書き加えようかと思います!)