目次
1. 心構え
「二次ドミナント」と「パラレルマイナーコード」を知ることによって、かなりコードの幅は広がったように思えます。
しかし、よくよく考えてみると、大元のコードクオリティ自体は、「メジャー」か「マイナー」だけです。その点でいえば、「基本中の基本」の世界から、全く脱していないのです。
ですからこのⅢ章ではついに、メジャー・マイナー以外の変わり種のコードたちを扱っていきます。当然いずれも「異物感」の強いスパイス的存在となるので、使用頻度としては落ちますが、良い「飛び道具」として曲想を豊かにしてくれるはずです。
Ⅲ章はスキップ気味でもOK
このⅢ章は、なかなかイバラの道です。いろんなコードの名前とその構成音を覚えて、活用法をひとつずつ知っていく暗記だらけの章ですからね。
こちらはⅢ章で学ぶコードたちのハイライト。やっぱりなかなか覚えていくのは大変です。だから、次々と紹介されるコードを、「はあ〜 色々あるんですねえ」くらいのノリで一旦やりすごしても、構いません。
馬耳東風スタイルでけっこう。サンプル音源を聴いてこのサウンドはいいな!と思ったものを自分の曲で使ってみて、その中でひとつずつマスターしていくのがよいです。コードネームを構成音の度数や半音の数でひたすら丸暗記していく……というのは非効率的な学習法です。サウンドや使いどころとセットで覚えて初めて身になる知識となりえます。
2. 和音の拡張と組み合わせ論
具体的なコードネームなどを列記していくよりも先に、III章でやっていくことの全体像を把握してもらいたいと思います。II章で使ってきたコードの種類というのは限られていて、1・3・5・7度の“お団子がさね”を徹底してきました。
そのため作れたコードの種類はというと、3rdの長短と7thの長短の掛け合わせで、4種類(三和音と四和音を別々にカウントしても6種類)だけでしたね。
III章では、この1・3・5・7のお団子がさねを微妙に崩していくことでバリエーションを生み出していきます。例えば1・3・5の真ん中をちょっと動かして「1・4・5」とか「1・2・5」のフォーメーションにすればそれだけで新しいコードの誕生ですよね。
あるいは5度の方も、半音上下させればまた独特なサウンドが生まれるはずです。
この場合、メジャーコードとマイナーコードのどっちを元にするか(=3rdが長か短か)と、5thを上に持ってくのか下に持ってくのか、その組み合わせで4種類のコードが作れることになります。
これをセブンスコードで考えると組み合わせはさらに増えますよね。3・5・7それぞれで2とおりずつあるので、8とおりになります。
「8とおりもあるのか」と思ってしまいますが、逆です。一見複雑そうなコードネームがあったとしても、細かく分解して各パーツを見たら簡単ということなのです。それは漢字を「部首」と「つくり」に分解して考えるのと似ています。闇雲に暗記するよりも、考えながら覚えると効率がよい。
ですので、メジャーセブンス・マイナーセブンス・ドミナントセブンスの違いがしっかり頭に入っている人にとっては、III章はそこまで難しくありません。「部首」がしっかり頭に入っている状態ですからね。読み進めて混乱を生じる場合には、いったんストップして作曲や分析の方に時間をかけるのがよいでしょう。
Continue