目次
前回、メジャーとマイナーと言う最重要コードを学びました。今回は、それをもう少し具体的に掘り下げて、レベルアップしたいと思います。
1. 段差に全てを
もう一度ここまでの話を確認すると、まずコードとは「音の重なり」です。重ね方によって、異なる響きが生まれる。ではその重ね方を分析する尺度はなんだったか? それは「度数」でしたね。
度数とは「音の相対距離」。音を重ねた時の距離が、響きを決定します。それは「相対的な距離」なので、高さがどこであろうと関係ないということでした。
この「高さは関係ない」という部分を、もう少しだけ詳しく見ていきます。例えば、C(ド)からではなくE(ミ)から音を重ねてみたらどうでしょうか?
そのままずらしただけで♭もついていないですから、やっぱりメジャーコードになりそうですね。聴いてみます。
ムム・・・? ちょっと暗い感じがしますね。これは、どうやら闇属性の響きです。そう、この「ミソシ」の和音は、EメジャーじゃなくてEマイナーなのです。
ハイ。いま目の当たりにしている現象は、コード理論の最初の「つまずきどころ」ですから、じっくり解説していきます。
五線譜に騙されない
思い出しても見てください。五線譜というのは、実際の段差が分かりにくい表記法でした。準備編ではそのせいで、「全全半全全全半」だとか何だとか、苦しめられましたね。
それはやっぱりコードでも同じ。「ドミソ」と「ミソシ」は、楽譜上の見た目は同じですが、実際の段差構成は異なっているのです。分かりやすいよう、タテに鍵盤を積んだ形でそれを示しますね。
このとおり。真ん中の音、すなわち3rdがひとつずれています。構成音のフォーメーション、つまり音どうしの相対的な距離が異なっているのですから、サウンドが異なるのは当たり前。
改めて、ふだんの鍵盤と、習ったばかりの詳細度数でも見てみますね。
ミからソまでの距離は、半音3つぶん。これは闇属性の「短3度」です。だから、ミソシの和音は暗いマイナーコードになったのです。
楽譜を見ても段差は分からない!
このあたりが、コード理論を難しく感じさせる理由のひとつですね。
Eメジャーの構成音は
ということで、ミ・ソ・シと積むと「Eメジャー」ではなく「Eマイナー」になることが分かりました。
それでは逆に、「Eメジャー」の構成音はどうなるのか? マイナーコードは、3rdを半音上げてあげればメジャーコードに変身します。ダークサイドから、ライトサイドへ。
このようにミソシの「ソ」を半音上げて、「ソ♯」にすれば、めでたく光属性の「Eメジャー」となります。
そういうわけで、「楽譜でぱっと見た感じが同じでも、実際に響きが同じとは限らない」ということは、重要事項として頭に入れておいてください。
2. コードの演奏は大変
こうなってくると、実は「コードネームを見て、その音を鳴らす」という作業は、キーボードでやるにはけっこう高度なものであることに気づきます。
Cならド・ミ・ソ。Eならミ・ソ♯・シ。それが分からないと正しく弾けませんからね。そういう「コードの演奏」なら、きっとギターの方が楽かもしれません。
ただミステリーアイテムの「五度圏」を上手く使ったりすると、その辺りの負担はいくらか減らすことができます。だから、まだこの作業はできなくっても全然オッケーです。その活用法については、後に紹介することになります。
ようするにこの2つ
そんなわけで、細かい話は色々ありましたが、ようするに「メジャー」「マイナー」という2つのコードが音楽の根幹をなす二大コードであり、それさえあれば曲は本当にいくらでも作れるということ。それを覚えてもらえればバッチリです。
ドからシまでで、♯♭も入れると全部で12コの音がありますから、そのそれぞれから「メジャー」と「マイナー」を作れると考えると、12×2で24コのコードが作れることになります。24コもあれば、実に多彩な表現が可能。本当に、メジャーとマイナーさえあれば十分なのです。
ここ数回は概念の理解に関する部分なのでちょっと大変だったと思いますが、次回は作曲にダイレクトに生きる部分なので、めげずに先へ進みましょう!
まとめ
- どの音を「ルート」にしたとしても、そこから一定の段差を保って音を重ねれば、「メジャーコード」や「マイナーコード」が作れます。
- 例えば「ミ・ソ・シ」から成る「Eマイナー」のコードは、「ド・ミ♭・ソ」から成る「Cマイナー」のコードと段差の構成が同じです。ゆえに同じ系統のサウンド(暗い響き)がします。
- 五線譜上では正確な音の段差が分かりにくいため、鍵盤などで確認すると分かりやすいです。