U-he Hive2がリリース! 新機能を解説

U-heからついにHive 2がリリースされました〜〜!! おめでとう🌈

わたしは今回はClosed Betaの段階から参加しておりまして もうすでにHive2マスターに近い状態なので、バンバン解説していこうと思います。

Hiveとは

まずはHive自体に馴染みのない人のために軽く紹介いたします。

Hiveはもともと、低CPU負荷とシンプルな操作性に主眼の置かれたシンセ、いわゆる「Sylenth1キラー」的立ち位置で2015年に登場しました。

左右対称の構成と、中央に陣取るデジタルパネルというのは完全にSylenth1の真似ですよね。

フィルターのモデルやエンヴェロープのカーブといった細かいオプションは存在せず、代わりにNormal/Dirty/Cleanの3つのエンジンを選択することで、フィルターモデル、エンヴェロープカーブ、ユニゾンデチューンのかかり具合が一括で切り替わるというシステムになっているのが特徴。

機能を絞り込んだことで、パラメータが多数のタブに分けられることを防ぎ、編集はスムーズで快適なものに。おかげで既存のプリセットを編集するときにも分かりやすい。そういうところが魅力のシンセです。

そして昨年v1.2でウェイブテーブルの読み込み機能が搭載されて、音作りの幅が一気に広がりました。

Hive1.2 鍵盤系サウンド

このエレピとかオルゴールのサウンドの質感やばくないですか? もちろん録音した生音を読み込んで再生してるんじゃなくて、ウェイブテーブルだけでこの音を出しています。

Hive1.2 パッド系サウンド

パッドもめちゃめちゃ美しい。初期リリース頃のレビューなどを読んで、「HIVE=ダンスミュージック向けのシンセ」と思っている人もけっこういるかと思うのですが、今となってはもう全然そんな狭い範囲に収まる存在ではないのである🐘🐘

そして先日ついに、満を辞してv2にメジャーアップデートしたのです🌞

Hive2の音

機能の紹介をする前に、サンプル音源を作ったのでそれを紹介します。やっぱし肝心のサウンドを聴かないことには始まりませんからね。

Hive2 Sample①

こちらはシネマティック風のサンプル。冒頭の太鼓の音はConcert Bass Drumというパッチなのですが、v2の新シーケンサーを活用してこの生っぽいフラムを生み出しています! この音がウェイブテーブルから生成されてるというのが驚きですよね。それからディストーションの質感がとても上品で、ここはU-heのDivaやReproでの技術力が活きているところだと思います。体験版で試すときにはぜひクリーンな音、ハードな音それぞれにディストーションをかけて動かしてみてほしいです。

v2でプリセットは378個追加されました。新モジュレーターを活かした複雑な音がやや多い印象だぞ👽👽

Hive2 Sample② (ドラムは別音源)

ヒャーー😂 こちらはv1.2のウェイブテーブル機能搭載でグッと表現力を増したWobble Bass分野。どっから出してるんだっていうようなエグい音が鳴ります。でもやっぱりフィルターとディストーションの作りからかどことなくU-heシンセに共通するアナログ味のようなものがあって、好みの分かれるところ。私は大好きです。

v2の新機能

さてそれではここからが機能のお話。v2になって追加された大きな機能は、以下の4つ。

  • 新しいモジュレーションの管理機能
  • 8ステップ×4レーンのシェイプ・シーケンサー
  • 2基のファンクション・ジェネレーター
  • モジュレーターの数値変化を可視化するスコープ

順番に見ていきますね。

新しいモジュレーション管理

これまではMod Matrixのスロットからドラッグ&ドロップでアサインするのが基本でしたが、v2ではそれに加えて、各モジュールのタイトル横にあるターゲットこのアイコンからもアサインできるようになりました。

ですから基本的には、いちいちMod Matrixを行き来する必要なく、GeneratorsとModulatorsを行き来していれば編集が完結できるようになりました。これは要するに、Xfer Serumと全く同じですね。Serumユーザーこっちへ来い来いということなのです。

各Modのターゲットアイコンをクリックすると、どこにアサインされているかがわかります。

下部に11個用意されたボックスも、このモジュレーションのアサイン&確認のために追加されました。

この新システムはv2における最大の改善点です。😎
v1だと、例えばLFOでOscのWidthを揺らすなんてときに、以下のような手順を取ります。

  • ①最下部MMのメニューからドロップダウンでLFOを選択
  • ②スロットから最上部のOscまで引っ張ってアサイン
  • ③もっかい最下部に戻ってDepthを調整
  • ④元のパラメータ自体が気に入らない場合、再度上へ行って調整し直し

この「メニュー選択」「上下の頻繁な行き来」が、ストレスとタイムロスを与えていたわけです。v2ではまずLFOのAssignerからOscまでが近いし、Oscのエリア内でMod Depthと元のパラメータを両方編集できる。こういうのって、改善されるまでは気にも留めないことなんですが、いざ改善された後はもう二度と古い方式に戻れないですね。

シェイプ・シーケンサー

v2の目玉機能といえるのが、中央に陣取るシェイプ・シーケンサーでしょう。

たった8ステップのシーケンサーが一台って、貧弱だと思いますか? でもこれ実は、かなり画期的な機能なのですよ。

4レーンの使い方

ポイントは、1つのシーケンサーに対して4つの「レーン」が用意されていることです。それぞれのレーンが、どのステップを使用するかを選べます

例えば上図のような配置なら、8stepを各レーンで2つずつ分け合って、みんな平等に「2stepだけの小さなシーケンサー×4基」として機能するわけです。
あるいは、ひとつのレーンでまず8stepのしっかりとしたシーケンサーを作ったうえで、他のレーンがその一部を「つまみ食い」することもできます。

この配置なら、DレーンはAレーンから1stepだけ“おこぼれ”をもらって、Saw系波形のLFOとして機能しています。また動作方式を「One Shot」にすれば、鍵盤を押すごとに一回だけシーケンサーを作動させてループさせないようにもできるので、LFOだけでなくADSR的な使い方も可能です!

ですから、画面上の領域でいえばほんの少ししか占めないこの小さなシーケンサーが、配分しだい、設定しだいで実に多様なモジュレーションを生み出すのです
シンプルなぶんタブの分割はなし、圧倒的な一覧性。この小さな8×4のグリッドの中に、創造性がギュっと詰まっているのである。制限がアイデアを刺激し、楽しさにもつながる。このShape SeqはHiveが当初から貫いてきた“Less is More”を体現した傑作モジュールだと思います。

編集の仕方

各ステップをクリックすると、ヘキサゴン内にそのステップが拡大して表示されるので、エディットはそこですることになります。

編集方法はちょっと変わっていて、

  • 左端をドラッグ:最大値を変更
  • 右端をドラッグ:最小値を変更
  • 他の場所をドラッグ:カーブ具合を変更
  • スクロール動作:波形のリピート具合を変更

スクロールというのが分かりにくいので要注意です。ユーザーからは、「スクロールは慣れない、Ctrlドラッグとかの方がいい」という意見も寄せられており、私もそう思います。変更されないかな~~~

ZebraやSerumのMSEGと違って、全てを完全にコントロールすることはできません。でもそのぶんシンプルで素早く作業できるものを、というのがHiveの基本哲学です。

ファンクション・ジェネレーター

ファクション・ジェネレーターは、モジュラーシンセに触発されたという特殊装置です。簡単にいうと、入ってきたシグナルを基にして別の波形を出力する「シグナル変身装置」なのですが、これもシェイプシーケンサー同様、パラメータはシンプルですが非常に奥深いです。Input SourceとModeを何にするかによって、シグナルの動きは様々。

モード毎の挙動の違いの説明がなかなか長くなってしまうので、詳細はまた別の記事にまとめようと思います。ひとつだけ紹介すると、例えば「Follow」のモードでは入力信号を追従するのですが、A/D/Slopeパラメータ次第で追うスピードが変わります。

Cycle

アタック・ディケイのノブをひねればそのぶん追従がなだらかになる。事実上LFOが一基増えたのと同じことですね。しかも加工のさせ方はモードによって様々で、ループしないADSRのようにして使うこともできます。様々な機能を生み出すから、ファンクション・ジェネレーターなのです。

ハッキリ言ってファンクション・ジェネレーターは上級者向けのモジュールです。Urs Heckmann氏自身も、ユーロラックに影響を受けたと述べています。「簡単に扱える」というのに惹かれてHiveを買ったユーザーにとっては、あまり望まない機能でしょう。普通に考えたらBazilleのようなモジュラーシンセに乗せるようなシロモノで、なんかUrsの趣味が前に出てしまったのかなという空気が漂っています😑

本当に挙動が複雑で、この記事には収まりきらず、別に単独記事を書いたので、気になる人はそちらを参照してね。

スコープ

そこに救済措置として一応用意されているのが、モジュレーションの変化を並べて確認できる「SCOPE」です。

最大4個まで、モジュレーションを縦に並べて関係性を見ることができます。ご覧のとおり、先ほど説明したFuncの動きが綺麗に視覚化されています。まあ、Funcの挙動を理解する為の機能と言ってよいですね。オマケでオシロスコープとしても使えます。
ただし現在のBuildではこのスコープやウェイブテーブルの波形表示が相応の負荷をかけるらしく、特に100%以外のズーム設定ではあちこち動作が遅くなったという報告が上げられています。作業をするときには、中央ヘキサゴン内でスコープやウェイブテーブルを表示しないでおくと軽くなるとのことです。

その他の改善

ほか、細かな改善がいくつかなされています。

非使用のエフェクタ

非使用のエフェクターはグレイアウトされるようになりました。Inactiveのエフェクターをいじくりまわして「あれ、全然音変わらないな・・・」みたいな事態はもう起こりません。
グレイアウトしているけどもパラメータ自体がいじれる状態になっているのは、万が一モジュレーションがアサインされていた場合、それをきちんと表示できるようにするため。

フィルターの視覚フィードバック

フィルターの状態がリアルタイムで表示されるようになりました。モジュレーションがどんな風にかかっているか一発で分かるので、これはあって当然の機能。ようやく他のシンセに追いついたぞという感じです。

モッドマトリックスの詳細オプション

モッドマトリックス内に、Depthのカーブを設定したり、値を整数にクオンタイズしたりといった高度な機能が追加されました。

実はこれv1でも搭載されていたのですが、「高度な機能だから」という理由で右クリックメニュー内に隠されていたため、あまり活用されていませんでした。まあShape SeqやFuncのような複雑なモジュレーションが登場した今、これも積極的に使ってもらおうということでしょう。

追加のウェイブテーブル

v1.2と比べていくつかウェイブテーブルが追加されています。私が「Eclipse」というGUI&プリセットパックに梱包していたウェイブテーブルからも7つが買収されました💰💰イェー

買われていった子たちの中で私いちばんのお気に入りは「DNA」というやつで、螺旋を描いて回転しているかのように見える見た目が面白いのである

しかも見掛け倒しでは決してなくて、こいつでpluckやchoir、brassなんかを作ると何とも味わいのある音が出来がち。おすすめですので試してみてね。
ほか、「Disto Dance」「FM 4×32 Vox」などが新顔かなと思います(曖昧な記憶)。v1.2時点では不足していた激しめのテーブルが補強された印象です。


変更点はまあこんなところで網羅できたかと思います。あと強いて言えばXYpad関連も強化されています。

これだけ機能は追加されましたが、「一覧性」というHive本来の強みは失っていません。新システムでタブの移動削減に加えてマウスの移動も大幅削減され、より快適になりました!

所感

Hive1が登場したときは、今までのU-heにない方向を攻めて「アウェイ」で戦いを始めたわけですが、気がついたらやっぱり「ホーム」に帰ってきたなという感じですね。人間やっぱり自分のやりたいことをやるべきなのです…。

正直ファンクション・ジェネレータについてはHiveのコンセプトに全く似合っていないと個人的には思いますが、ただそれを差し引いてもモジュレーション強化とシェイプシーケンサーの恩恵は大きいですね。Hive1所持者にとっては間違いなく「買い」のアップデートだと思います。